科目名 | |||
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哲学史 | |||
担当教員名 | |||
笹路 梨咲子/豊田 泰淳 | |||
科目設置 | 法学部専門教育科目 | 授業形態 | 夜間スクーリング |
科目種別・類 | 甲類・乙類 | 単位 | 2 |
キャンパス | 三田 | 共通開講学部 | 文学部専門教育科目:哲学史 |
設置年度 | 2025 | 授業コード | 52504 |
本講義は、主にアリストテレスとトマス・アクィナスというそれぞれ古代と中世を代表する哲学者の思想に定位し、その倫理思想の内実を追うことを主眼とする。いわゆる倫理・道徳に関わる問題群一般は古今東西あらゆる文明において様々な角度から検討されてきたものの、他方「倫理学」という学問領域はアリストテレスが明確に意識的な仕方で打ち立てたものであり、少なくとも西洋における学の展開を追うにあたって彼の思想を参照することは不可欠である。
他方、倫理「学」という学問領域としての側面を強調するのであれば、あくまで学としての普遍性を保ったかたちで展開される必要があるだろう。実際、現代に生きる我々が接する倫理学的な枠組みは、あらゆる人にとって理解可能な仕方で構築されていることを求められている。倫理学が実践と深く結びついている以上、理解不可能な概念を用いた説明は敬遠され、場合によってはそうした概念そのものを消去、あるいは他の理解可能な概念へと変形させることで「よりよい」説明が常に更新されてきたのだといえよう。
ただこのように考えるとき、魂、徳、神といった諸概念を前提として展開される古代・中世の倫理思想は、既に乗り越えられた「古い」思想と見なされてしまうのだろうか。本講義はそのような立場をとることなく、アリストテレスやトマスといった哲学者たちの倫理思想に潜む意義を普遍的な仕方で取り出すことを試みる。講義内では現代に生きる我々にとって馴染みのない諸概念について丁寧に説明を行うが、その中で彼らの倫理思想の背景にある哲学的、存在論的、形而上学的枠組みを理解することが、彼らにとっての当事者的問題意識を探ることに繋がるだろう。そしてこの本質的問題のありかを掴み取ったとき、その切実な問題意識は現代に生きる我々にとっても理解可能な普遍的なかたちで再定式化されるのである。
第1回~第6回にあたる前半(豊田担当)では、古代ギリシャ哲学という文脈においてアリストテレス倫理学が成立するまでの過程を確認し、その中で前提とされる諸概念の説明を行う。 第7回~第12回にあたる後半(笹路担当)では、西洋中世という時代を生きたトマス・アクィナスが、アリストテレスの哲学・倫理学から何を受容し、どのようにして新たな世界観や人間観、人生観を形成していったのかを、トマスの徳論に焦点を当てて考える。
第1回講義内容
前半への導入:「倫理学」の出発点
第2回講義内容
アリストテレス以前の倫理思想
第3回講義内容
アリストテレスの倫理思想を支える諸前提
第4回講義内容
魂とは何か
第5回講義内容
行為とは何か
第6回講義内容
徳とは何か
第7回講義内容
後半への導入:トマス・アクィナスにおけるアリストテレス哲学・倫理学の受容とその背景
第8回講義内容
徳論の諸前提について
第9回講義内容
徳とは何か①
第10回講義内容
徳とは何か②
第11回講義内容
徳とは何か③
第12回講義内容
総括
その他の学習内容
・課題・レポート
・必要に応じて、成績評価とは関わらないリアクションペーパーを配布することがある。
最終回授業時の授業内試験による。
プリントを適宜配布する
受講にあたって特別な予備知識は必要としません。
配布資料や参考文献を適宜参照しつつ、毎回の授業内容を復習してください。