慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
社会心理学
担当教員名
李 光鎬
科目設置 総合教育科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 3分野科目/社会科学分野 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2026 授業コード 12628

授業科目の内容

社会心理学は、他者によって引き起こされる様々な心の動きを説明する学問である。一方でメディアは、他者との関係を媒介し、他者について描写し、他者のあり様について教えてくれるシステムである。私たちはメディアで、他者と出会い、交流し、好きになったりするし、他者を観察し、模倣し、他者から学び、楽しまれ、影響を受けるのである。従って、我々がメディアを、なぜ、どのように利用し、そこから何を受け取り、楽しみ、影響を受けているのかについては、社会心理学の知見によって説明できる部分が非常に大きい。本講義では、主な社会心理学の概念や知見がどのようにメディア(・コンテンツ)の利用をめぐる我々の心理や行動を説明できるかについて、実証的な研究の成果を踏まえながら検討していく。

第1回講義内容
イントロダクション:「社会心理学でメディアを学ぶ」とはどういうことか 認知的斉合性理論と選択的接触(1):Heiderのバランス理論、Festingerの認知的不協和など認知的一貫性の傾向を指摘した理論について学習する。

第2回講義内容
認知的斉合性理論と選択的接触(2):保守は革新のニュースを読まないのか。すでに購入した車の広告をなぜ見るのか。認知的斉合性理論からメディアへの選択的接触傾向を理解する。

第3回講義内容
認知的情報処理とニュースの影響(1):プライミング、認知的倹約家説、情報処理の2重過程モデルなど、理解や記憶に関する社会心理学の理論について学習する。

第4回講義内容
認知的情報処理とニュースの影響(2):ニュース報道の仕方によって生じうる議題設定効果、フレーミング効果、プライミング効果、培養効果などについて理解する。

第5回講義内容
快楽原理とエンタテインメント(1):学習理論、便益費用理論、気分管理理論など、快楽原理を前提にした社会心理学理論について学習する。

第6回講義内容
快楽原理とエンタテインメント(2):エンタテインメントは楽しくなるために見るものだが、悲劇やホラーはなぜ人気があるのか。快楽原理の理論がエンタテインメントへの選択的接触をどのように説明でき、どのような限界があるかを理解する。

第7回講義内容
ウェルビーイングとメディア(1):人間は、快楽だけを追求するわけではない。より崇高で深みのある幸せは、どのように得られるのか。ユーダイモニアに関連した社会心理学の理論を学習する。

第8回講義内容
ウェルビーイングとメディア(2):自己成熟、意味創出、制覇経験、レジリアンスなどのユーダイモニックなウェルビーイングがエンタテインメントの利用によって得られることを理解する。

第9回講義内容
道徳の社会心理とメディア(1):道徳基盤理論、社会的学習理論、道徳的離脱など、道徳の心に関連した社会心理学の理論を学習する。

第10回講義内容
道徳の社会心理とメディア(2):なぜハッピエンドの物語は多いのか?ダークヒーローの物語はどういう楽しみを与えてくれるのか。暴力表現を楽しめるのはなぜか。ディスポジション理論、直観的な道徳的楽しみのモデル(MIME)からその理由を理解する。

第11回講義内容
AIの社会心理学:バーチャル・ヒューマンから我々を拡張する道具へ

第12回講義内容
まとめ

その他の学習内容
  ・課題・レポート
  ・履修者は、毎回の授業時間中に授業内容についての理解を定着させるための短いまとめレポートを作成します。

成績評価方法

毎回のまとめ課題と最終回における試験

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

社会心理学でメディアを学ぶ/李光鎬 メディオスリブロ 2026年7月刊行予定

テキストは、授業開始の少し前にAmazon.co.jpで電子およびオンデマンド出版の形で書籍でも刊行される予定です。

参考文献

メディア・オーディエンスの社会心理学/李光鎬ほか 新曜社 2023
ポジティブ・メディア心理学/アーサー・レイニ(李光鎬監訳) 新曜社 2023

受講上の要望、または受講上の前提条件

シラバスは、現段階(2025年末)での計画であり、開講時期には少し変更になる可能性があります。また、授業の進み具合によってはすべてを取り上げられない可能性があります。