慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
社会科学概論
担当教員名
蔭木 達也
科目設置 総合教育科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 3分野科目/社会科学分野 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2026 授業コード 12630

授業科目の内容

 私たち一人一人の人間個体は、人間以外の生物や自然環境の中で単独で生きていけるほど強くは作られていません。ですから助け合わなければ生きていけないのですが、困ったことに人は一人一人、個体の感じ方も育ってきた環境も、知っていることも見ている世界も違う。なのに、他人の心の中を直接にわかる能力がない。だから人々が集まれば、誰もが、他の人が自分の思い通りに動かないということに驚くわけです。テレビやインターネットには、日々、他人が自分の考えと違うことをするといって怒ったり嘆いたりするコメントが流れています。しかし、思うようにならないからといってお互いを罵りあい傷つけあい、戦いをして決着をつければ、さらに弱く孤独を深めた人間が残るだけです。
 けれども、そのばらばらな個体がなんらかの方法でお互い歩みあい、助けあえば、弱い人間でも安全安心に生きることができるのだ、と人々は大昔から知っていました。そこでいろいろな哲学や宗教は、そうした人間同士の協調の基盤となる、いつどこの誰にでも当てはまるような、不変の法則を探ってきたわけです。さらに17世紀ぐらいから、人間を、ひいては宇宙全体を一つの大きな機械として捉え、それを理解しコントロールしようとする知的体系としての「科学」がヨーロッパで発展してくると、人間集団をも一つのシステムと捉えて分析し、うまく調整することで平和な世界が実現できるんじゃないか、と考えた人々が19世紀ごろから「社会科学」の名の下でその理論を発展させていきます。この過程を概観するのが本講義の内容です。
 残念ながらいまのところ、お互いに異なる人々同士が、争いあわず豊かに生きていく社会科学の理論は見つかっていません。私たちは日々他人を罵り、後悔しながらまた過ちを繰り返し、いつか死んでいきます。しかし、その見つけようとして色々考えてきたことは、無駄ではないと思うのです。どうです皆さん、大学の外に出れば、いがみ合って死んでいくのが現実かも知れませんが、せめて教室の中だけでも、そうした理想的理論を目指していくのに如何したらいいものか、一緒に考えてみませんか。

第1回講義内容
イントロダクション 天体の運行と人間の社会

第2回講義内容
社会科学前史(1) 古代地中海世界における社会認識

第3回講義内容
社会科学前史(2) 中世の宗教と社会

第4回講義内容
社会科学の源流(1) 機械的人間観と社会

第5回講義内容
社会科学の源流(2) 社会契約論の展開

第6回講義内容
社会科学の源流(3) 個人と社会

第7回講義内容
社会科学方法論の成立と展開(1) 社会の世界的組織化を目指して(フランス)

第8回講義内容
社会科学方法論の成立と展開(2) 歴史から辿る社会の必然的方向(ドイツ)

第9回講義内容
社会科学方法論の成立と展開(3) 経験に基づく社会の道徳と未来(イギリス)

第10回講義内容
20世紀の社会科学(1) より妥当な方法を求めて

第11回講義内容
20世紀の社会科学(2) 現代の社会科学

第12回講義内容
まとめと授業内レポート試験

その他の学習内容
  ・授業内で紹介する様々な文献から関心のあるものを読んで頂ければと思います。

成績評価方法

期末レポート(100%)

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する

参考文献

プリントを適宜配布する

受講上の要望、または受講上の前提条件

受講にあたり、専門知識等の予備知識は必要としません。講義形式の授業ですが、授業内で受講者への問いかけなどを行なう場合があります。授業は日本語で行います。
本授業については特に、通信教育課程においてスクーリングが教員との双方向のやり取りを担保する貴重な機会であることに鑑みて、授業前後等の質問や対話も歓迎します。