
| 科目名 | |||
|---|---|---|---|
| 自然科学概論 | |||
| 担当教員名 | |||
| 栗原 恵美子 | |||
| 科目設置 | 総合教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
| 科目種別・類 | 3分野科目/自然科学分野 | 単位 | 2 |
| キャンパス | - | 共通開講学部 | - |
| 設置年度 | 2026 | 授業コード | 12648 |
「自然科学概論」は、科学哲学や自然史を軸として構成されることが多いですが、本講義ではこれとは異なる視点として、現代社会が直面する重要課題である持続可能性(サステナビリティ)および炭素循環型社会の構築を切り口に、生物学の基礎的知見とその社会的意義を俯瞰的に捉えます。
現在、地球規模の気候変動への対応として、環境負荷の低い社会への転換が求められています。その実現に向けた重要なアプローチの1つが、生物の持つ多様な機能を活用するバイオテクノロジーです。しかしながら、革新的な応用技術は突然生まれるものではなく、細胞の構造や遺伝子の働き、代謝の仕組み、個体の発生や環境応答といった基礎生物学の知見の積み重ねを基盤として発展してきたものです。
本講義では、特に植物に焦点を当て、地球上の炭素循環を担い多様な生物資源(バイオマス)を生み出す仕組みを科学的に理解することを目指します。生命を構成する分子や細胞のレベルから、個体の成長、環境との相互作用、さらには社会における資源利用や産業応用に至るまで、生物学の知識を体系的に学びます。
全12回の講義を通して、植物が資源を生み出す仕組みを「分子→細胞→個体→社会応用」という階層的視点から理解することを目標としています。最終的には、ミクロな細胞の世界からマクロな地球環境までを関連づけて考察する力を養い、自然科学的思考に基づいて現代社会の課題を捉える視点を身につけるきっかけとなることをのぞみます。
第1回講義内容
ガイダンス:生物とは何か ― バイオマスの科学 ―
持続可能性や炭素循環をキーワードに、生物とは何か、生物学を通して自然科学を学ぶ意義について概説する。あわせて本講義のテーマである植物バイオマスの重要性と社会的背景について導入を行う。
第2回講義内容
生物を構成する物質 ― バイオマスの材料 ―
タンパク質、糖質、脂質、核酸など、生体を構成する主要な分子について解説し、植物が生み出すバイオマスの化学的基盤を理解する。
第3回講義内容
細胞:生命を形作る構造と機能 ― バイオマスの場 ―
生命の基本単位である細胞の構造と、それを構成する生体分子について学ぶ。植物特有の細胞壁や細胞内小器官の構造を理解し、植物バイオマスの実体をミクロな視点から捉える。
第4回講義内容
代謝:エネルギーの獲得と物質生産
植物はいかにして無機物から有機物を生み出すのか。主に光合成によるエネルギー獲得と代謝の仕組みを通して、植物が「物質生産工場」と呼ばれる理由を科学的に理解する。
第5回講義内容
DNAとゲノム ― 生物をつくる情報 ―
遺伝情報を担うDNAとゲノムの基本構造を学び、生物の形質や機能がどのように制御されているのかを理解する。
第6回講義内容
細胞増殖:細胞周期と分裂 ― バイオマスの増加 ―
生物が成長しバイオマスが増大するために不可欠な細胞分裂について解説する。細胞周期の基本的な仕組みとその制御機構を理解し、生命が自己を複製する過程を学ぶ。
第7回講義内容
個体形成のしくみ:植物の基本構造
単一の細胞からどのようにして植物の体が形成されるのかという発生の基本原理を学ぶ。根・茎・葉といった主要器官の構造と機能を概観するとともに、分裂組織(メリステム)による成長や細胞分化による組織形成の仕組みを理解する。細胞レベルの現象がどのように個体形成やバイオマスの生成につながるのかを考察する。
第8回講義内容
生物と環境:植物の環境応答と光形態形成
移動できない植物がどのように環境情報を感知し、適応しているのかを学ぶ。光形態形成を中心に、シグナル伝達と環境応答の仕組みを理解する。
第9回講義内容
ケミカルバイオロジーとバイオテクノロジー:化学から生物を理解する
化学的手法を用いて生命現象を解析するケミカルバイオロジーの基本概念を紹介し、生物学研究の新しいアプローチについて理解する。
第10回講義内容
ケミカルバイオロジーの応用:化合物による植物機能の制御
化合物を利用して植物の成長や機能を制御する研究例を紹介し、基礎研究と応用研究のつながりを理解する。
第11回講義内容
バイオテクノロジーと持続可能性①:天然ゴムの科学
植物における天然ゴムとは何かを解説し、ゴムノキの資源作物としての重要性とその生産をめぐる課題について考える。
第12回講義内容
バイオテクノロジーと持続可能性②:植物細胞工場
植物の分化全能性と培養細胞技術を紹介し、細胞工場による物質生産の可能性について解説する。これまで学んだ内容を総括し、基礎生物学の知見がカーボンニュートラル社会の実現にどのように貢献するのかを議論する。
その他の学習内容
・小テスト
小テスト:70%
出欠:30%
プリントを適宜配布する
特定の教科書は使用しません。毎回オリジナルの講義資料・レジュメを配布します。
プリントを適宜配布する
質問やコメントはリアクションペーパーで受け付け、次回以降の講義内で適宜フィードバックを行います。高校で生物を履修していなくても受講可能です。専門用語については講義内で随時解説します。