慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
日本経済史
担当教員名
桑田 翔
科目設置 経済学部専門教育科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 文学部「日本史特殊」として開講 法学部「日本経済史」として開講
設置年度 2026 授業コード 62613

授業科目の内容

本講義では、主に明治期の日本経済の発展や変化について、江戸時代の経済の発展を踏まえつつ説明していきます。
こうした視角を用いることで、日本経済は明治期以降、単純に欧米を模倣したのではなく、模索の中で取捨選択を繰り返しながら、変容していったことを示します。かつて日本の経済は、欧米のモデルと比較し「非近代的」とされた面が、しばしば批判の対象となりました。しかし、近年の研究の進展に伴い、以前は「非近代的」と否定されたような面も、日本経済が欧米の技術や制度を受容し、発展していく上で役立ったことが分かってきました。
講義では論理的な説明を重視しますが、前提として産業の状態や金融、貿易など、日本経済に関する基本的な説明を重点的に行います。説明はまず江戸時代から始め、続いて明治期の様々な変化を、「移植」と「在来」の二面性を重視しながら論じます。大正期にも簡潔に触れ、第一次世界大戦を期とした日本経済の更なる変化を展望します。その上で、個別の産業も重点的に取り上げ、長期的な変化を見ていくことで、変化のダイナミズムをより具体的に理解することを目指します。



第1回講義内容
経済史における歴史的視座の重要性と本講義の視角

第2回講義内容
江戸時代における市場経済の形成と経済発展

第3回講義内容
幕末・維新期―江戸社会の解体と近代的諸制度の導入―

第4回講義内容
明治前期―近代的諸制度の定着と産業革命の開始―

第5回講義内容
明治中期―日清戦後経営と「複層的経済発展」の拡大―

第6回講義内容
明治後期―都市の発展と欧米との技術・資本面での提携―

第7回講義内容
第一次世界大戦と重化学工業の勃興

第8回講義内容
明治期の経済官庁ー経済政策の担い手たちー

第9回講義内容
製糸・織物業ーかつて日本の工業は軽工業中心だったー

第10回講義内容
鉄道・自転車ー「くるま」の発達ー

第11回講義内容
造船業ー水運の「近代化」ー

第12回講義内容
試験・総括

その他の学習内容
  ・課題・レポート

成績評価方法

原則として、最終回で実施する試験で評価します。試験では講義のレジュメ含む参考文献は持込可です。リアクションペーパーも適宜加点対象とします。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する
講義ではパワーポイントを使用予定です。パワーポイントは細かい情報を記すには不向きなので、加えて適宜、語句説明などを盛り込んだレジュメを作成します。

参考文献

日本経済史/沢井実・谷本雅之 有斐閣 2016
日本経済の比較史/※谷本雅之編 放送大学教育振興会 2024
日本経営史[第3版]/宮本又郎・阿部武司 ・宇田川勝 ・沢井実 ・橘川武郎 有斐閣 2023
日本近代技術の形成/中岡哲郎 朝日新聞社 2006

プリントを適宜配布する
※を付した本は、有斐閣の沢井・谷本の、エッセンス的な内容の文献です。日本経済史を初めて学ぶ方は、こちらの方が手軽かもしれません。
参考文献は必読ではありませんが、講義内容にかなり反映させています。

受講上の要望、または受講上の前提条件

講義は基本的に論理的な説明を重視し、試験も日本経済に対する理解力を問うような出題とします。それゆえ、日本近世・近代史に関する事前学習は必須ではありませんが、高校の教科書レベルの日本史の知識があると、理解に役立つかと思います。
講義では適宜リアクションペーパーをお配りしますので、内容に関する疑問や意見などを積極的にご記入下さい。出来るだけ次の講義冒頭で応答を行います。