科目名 | |||
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芸術(美術) | |||
担当教員名 | |||
林 克彦 | |||
科目設置 | 総合教育科目 | 授業形態 | 夜間スクーリング |
科目種別・類 | 3分野科目/人文科学分野 | 単位 | 2 |
キャンパス | 三田 | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2020 | 授業コード | 12008 |
開講期間 | 10月7日(水)~1月6日(水) | 曜日・時間等 | 水曜日、18:20~20:05 |
古代から近現代にかけての西洋美術の様式変遷には一筋の連続性があり、その連続性は、抽象的で観念の表象を旨とする様式と、具象的で現実の再現を志向する様式という両極、すなわち、二つの基本様式の間の絶えざる反動として見ることができます。中世から近世にかけて、西洋美術は、キリスト教の理念を象徴的に表現する形式主義的なものから、しだいに、空間、運動、陰影、印象を重視する自然主義的なものへと変化していきますが、その変化を決定づけたのがイタリアのルネサンス美術に他なりません。16世紀初頭にレオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエッロ等が完成させたいわゆる盛期ルネサンス様式は、その後19世紀まで続く古典的で自然主義的な近世美術の規範となりました。対するに、15世紀の初期ルネサンス美術の様式は、いまだ中世的な性質を色濃く残しており、先に述べた両極のちょうど中間に位置するものと言えます。その初期ルネサンスを代表する画家の一人が、ピエロ・デッラ・フランチェスカ(1412年頃~1492年)です。ピエロは近世絵画の基本的な特質の一つである合理的な透視絵画空間を完成させた数学者でもあった反面、彼の作品には、単純な形態、色面的な装飾性、不動性といった、中世絵画に通ずるようなプリミティヴな要素も少なからず認められます。本講義では、このピエロ・デッラ・フランチェスカの諸作品の分析を通じて、西洋近世美術の様式変遷を決定づけたルネサンス美術の主要な造形原理について解説します。
第1回講義内容
美術史学の歴史と様式論
第2回講義内容
古代と中世(ミメーシスとイデア)
第3回講義内容
ルネサンスにおける美と優美
第4回講義内容
ルネサンスの遠近法
第5回講義内容
ピエロ・デッラ・フランチェスカの遠近法
第6回講義内容
ピエロ・デッラ・フランチェスカの《聖十字架伝》
第7回講義内容
ルネサンスの壁画連作における物語の描写と構成
第8回講義内容
ルネサンス絵画における風景
第9回講義内容
ピエロ・デッラ・フランチェスカと北方絵画
第10回講義内容
ピエロ・デッラ・フランチェスカとヴェネツィア絵画
第11回講義内容
ピエロ・デッラ・フランチェスカと近代美術
第12回講義内容
総括・課題
その他の学習内容
・講義内容は、イタリアのルネサンス美術を中心に、古代から近代にかけての西洋美術史全体に及びます。
出席状況と最終日に提示される課題のレポートによる。
プリントを適宜配布する
『ウィトルーウィウス建築書』/(森田慶一訳) 東海大学出版会 1979
『プリニウスの博物誌 第三巻』/(中野定雄他訳) 雄山閣出版 1986
『絵画術の書』/チェンニーノ・チェンニーニ(辻茂他訳) 岩波書店 1991
『絵画論』/レオン・バッティスタ・アルベルティ(三輪福松訳) 中央公論美術出版 2011
『ヴァザーリの芸術論』/ヴァザーリ研究会編 平凡社 1980
『アレティーノまたは絵画問答』/ロドヴィーコ・ドルチェ(森田義之・越川倫明訳) 中央公論美術出版 2006
『抽象と感情移入』/ウィルヘルム・ヴォリンゲル(草薙正夫訳) 岩波文庫 1953
『美術史の基礎概念』/ハインリヒ・ヴェルフリン(海津忠雄訳) 慶應義塾大学出版会 2000
『〈象徴形式〉としての遠近法』/エルヴィン・パノフスキー(木田元監訳) ちくま学芸文庫 2009
『イタリア絵画史』/ロベルト・ロンギ(和田忠彦他訳) 筑摩書房 1997
『イタリアの美術』/アントニー・ブラント(中森義宗訳) 鹿島出版会 1968
『風景画論』/ケネス・クラーク(佐々木英也訳) ちくま学芸文庫 2007
多数の図版を提示します。作品をよく見るよう心がけてください。