授業科目の内容

かつて中国は「神話なき国」と呼ばれていた。なぜならば、中国は古典古代の時代において、ギリシャ神話のような膨大な量の神話を残すことをしなかったし、また日本神話のように、天地の創造から天皇が大和に居を構えるに至るまでを体系的に述べた神話を持つこともなかったからである。しかし近年ではフィールドワークの進展により、一般民衆の口から豊富な神話が語られ始めるなど、「神話なき国」というレッテルは修正を迫られつつある。そこで、この授業ではこうした現状を踏まえながら、中国神話学の扉を皆さんとともに開いてゆきたいと思う。中国は広大な大地と悠久の歴史を併せ持つ文明である。そこで本講では、中国の地域に根差した神話を紹介するとともに、中国の歴史上語り継がれてきた神話を紹介することにしたい。こうした作業を行うに当たっては、様々なアプローチからの接近が可能であるが、わたくしは主として、中国の神話を世界の神話と比較する、比較神話学の手法を取りたいと思う。熱心な学生の受講を期待したい。

第1回講義内容
中国の地域区分

第2回講義内容
中国の地域性と神話

第3回講義内容
中国古代神話が断片化した理由

第4回講義内容
中国古代神話の変貌について

第5回講義内容
笑わぬ女神

第6回講義内容
捨て子伝承の系譜

第7回講義内容
太陽を射落とした英雄の神話

第8回講義内容
魚の島

第9回講義内容
中国古代神話と画像資料

第10回講義内容
嫁殺し田

第11回講義内容
独脚鬼の伝承

第12回講義内容
試験・総括

その他の学習内容
　　・受講後に配布した資料の内容を復習することが望ましい。

成績評価方法

授業の内容と関連するレポートを課し、その内容によって決定する。

テキスト（教科書）※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する

参考文献

プリントを適宜配布する

受講上の要望、または受講上の前提条件

特に受講上の前提はないが、何よりも神話に関心を持つ学生の参加を期待したい。