科目名 | |||
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社会問題 | |||
担当教員名 | |||
定森 亮 | |||
科目設置 | 経済学部専門教育科目 | 授業形態 | 夜間スクーリング |
科目種別・類 | 単位 | 2 | |
キャンパス | 三田 | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2020 | 授業コード | 62034 |
開講期間 | 10月5日(月)~12月28日(月) | 曜日・時間等 | 月曜日、18:20~20:05 |
日本は、明治期に、国家の文明化、つまりは近代化を目的としてヨーロッパの学問を取り入れた。本講義は、現代においてヨーロッパ文明の内実を問うことが、日本の社会の基礎を問うことといかに密接不可分に結び付いているかを受講者がより深く理解できるようになることを目標とする。
なお、本講義は、現代社会において向き合うべき具体的な諸問題を思想史的観点から扱う。そのために、近代ヨーロッパ文明の基礎が形成された15世紀のイタリア・ルネサンスの時代から18世紀のイギリス、フランスを中心とした啓蒙の時代を経て、20世紀初頭までの思想家を取り上げて分析し、この長い時代を通じて、人間、社会、国家に関する認識が、いかにして精緻化されていき、それが経済学を代表とした近代社会科学の基礎を形成するに至ったかを明らかにする。
第1回講義内容
イントロダクション
第2回講義内容
ハンナ・アーレントの全体主義批判
:第二次世界大戦の記憶を巡って
第3回講義内容
アーレント『人間の条件』における近代社会批判
:大学制度と古代ギリシア以来の学問的知の伝統
第4回講義内容
ニッコロ・マキァヴェッリ『ディスコルシ』における古代社会の発見
:市民権と軍事参加、日本国憲法の特殊性
第5回講義内容
ジェイムズ・ハリントン『オシアナ共和国』における政治の科学
:「理想」と対話、民主政治を支える文化とはなにか?
第6回講義内容
デヴィッド・ヒュームにおける文明社会と名誉革命体制の肯定
:女性の社会的位置の歴史的変化
第7回講義内容
モンテスキューとヒュームにおける世界経済の分析と「人間性」の認識の相違
:ネルソン・マンデラの黒人解放運動における「理想」と「反省」
第8回講義内容
トマス・ホッブズにおける主権国家の設立と内乱の解決
:文化の一側面としての宗教の意味
第9回講義内容
ジョン・ロックにおける議会主義の肯定と宗教的寛容
:冷戦崩壊後のユーゴスラビア内戦における宗教対立
第10回講義内容
スミス『国富論』における経済的自由の体系
:18世紀のスミスの自由主義と今日の新自由主義の違い
第11回講義内容
マルクスの資本主義批判、トクヴィルのアメリカ「民主政治」の評価
:グローバリゼーションの時代における民主政治の可能性
第12回講義内容
試験・総論
その他の学習内容
・課題・レポート
成績は、学期中に2回提出してもらうレポート(1000字程度)
と3、4回提出してもらうコメントカードの内容で決める。
『社会思想の歴史』/坂本達哉 名古屋大学出版会、市販書採用科目「社会思想史」指定テキスト、経済学部Ⅳ年度①配本 2014年
『人間の条件』/ハンナ・アレント ちくま学芸文庫 1994年
プリントを適宜配布する
経済学の位置を社会科学、人文科学全般との関連で
広い視野から見直してみたい、という関心をもつ学生を歓迎する。
授業の進行具合に応じて、内容を若干変更することもある。
各講義内容ごとにプリントを配布するので教科書はなくても受講できるが、
この教科書の内容自体は充実しているので関心のある人には購入をお勧めする。