
| 科目名 | |||
|---|---|---|---|
| 倫理学(専門) | |||
| 担当教員名 | |||
| 中野 愛理 | |||
| 科目設置 | 経済学部専門教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
| 科目種別・類 | 第1類 | 単位 | 2 |
| キャンパス | - | 共通開講学部 | 文学部専門教育科目:倫理学(専門) |
| 設置年度 | 2026 | 授業コード | 52605 |
授業のテーマ:イマヌエル・カントの永遠平和論
授業内容:
本授業では、近代を代表する哲学者イマヌエル・カントの平和論である『永遠平和のために』(1795)を読み解き、世界平和のために国家が国内外に対しいかなる貢献をなしうるのかについて学びます。
カントが生きていた18世紀のヨーロッパは激動の時代でした。カントの祖国プロイセンでは、オーストリア継承戦争(1740-48)、7年戦争(1756-63)、ポーランド分割(1772-95)など、戦争を通じた領土獲得が長らく試みられていました。他方で、啓蒙専制君主であったフリードリヒ2世のもとで、自由で闊達な議論のできる機会が広がってもいました:「啓蒙とは人間が自ら招いた未成年状態から脱することである。…自分自身の知性を用いる勇気を持て!」(カント「啓蒙とは何か」)しかし、隣国でフランス革命(1789)が勃発し、人権宣言(身分制の撤廃)が叫ばれると、プロイセンは急速に保守化します。1792年にはフランスの君主制を救うためオーストリアと共にピルニッツ宣言を発し、フランス内政に干渉を試みます。その後フランスとの戦争を経て、95年にはフランスとバーゼル講和条約を結びます。
このような領土拡大や他国への内政干渉の絶えない時代背景のなか『永遠平和のために』は書かれました。この本からは、国家というものが世界平和のためにいかなる形態であるべきか、何をなすべきであり、何をなすべきでないかを学ぶことができます。確かに、18世紀末の時事的問題に対するリアクションという側面はありますが、その場凌ぎの提言ではなく、人間本性に関わる鋭い洞察に基づいた普遍的な提言として、現代の私たちに「平和とはいかなる事態であるか」という問いに対する一つの基礎的な回答を与えてくれます。
授業方法・準備学習(予習・復習):
・講師がスクリーンに投影したスライドとpdf資料を使って講義を行う。(資料を手元で見たい学生は各自事前に配布する資料を印刷して持参するか、タブレット・PC等を持参すること。)
・偶数回講義の終わりに授業内容をまとめる課題を出す。(質問は課題内の質問欄で受けつける。)
・奇数回の講義冒頭で、前回の授業内課題の解説及び、全体講評を行う。
・予習:指定されたテキストを読み、わからない部分に線を引いておくこと。
・復習:教科書及び資料を繰り返し読み、内容理解に努めること。
到達目標:
・カントによる平和のための国家構想を歴史的、哲学的な背景知識とともに説明できるようになる。
・『永遠平和のために』について、複数の解釈者の議論を踏まえて論じることができるようになる。
第1回講義内容
イントロダクション:『永遠平和のために』とはどのような本か?/カントとは誰か?
第2回講義内容
カントの批判哲学の概要/『永遠平和のために』序文
第3回講義内容
『永遠平和のために』予備条項
第4回講義内容
伝統的社会契約論とカントの社会契約論
第5回講義内容
『永遠平和のために』第1確定条項/共和主義の理念(1)さまざまな政治制度
第6回講義内容
『永遠平和のために』第2確定条項/共和主義の理念(2)理性の公共的使用
第7回講義内容
『永遠平和のために』第3確定条項/国際法と世界市民法
第8回講義内容
クラインゲルト「カントの平和論」(1)歴史的文脈とカントの平和論
第9回講義内容
『永遠平和のために』第1補説(1)カントの批判哲学と摂理
第10回講義内容
『永遠平和のために』第1補説(2)摂理が法的状態を導く/第2補説
第11回講義内容
『永遠平和のために』付録:道徳と政治の間に起きる摩擦、この摩擦を解消し、両者を一致させる方法
第12回講義内容
試験と総括
その他の学習内容
・課題・レポート
授業課題(40%)と試験(60%)により総合的に評価する。
※試験は持ち込み不可、ボールペン指定有
『永遠平和のために』/イマヌエル・カント(宇都宮芳明訳) 岩波書店 1985
教科書のほかに、授業資料をオンラインで配布します。(紙での配布は行いません。)
『カントの政治哲学入門:政治における理念とは何か』/網谷壮介 白澤社・現代書館 2018
The Cambridge Companion to Kant and Modern Philosophy/Paul Guyer Cambridge University Press 2007
・授業資料はK-LMSの授業ページに当日朝までにアップロードしますので、必要であれば印刷して持参してください。紙での配布は行いません。
・初回までに必ず教科書を入手してください。毎授業用います。『永遠平和のために』の翻訳は複数ありますが、授業では宇都宮訳のページ数で課題等を指示しますので必ずこの翻訳を入手してください。(別の邦訳を既に持っている人は新しく購入する必要はありませんが、訳語の違いに起因する内容の質問は受けません。)
・参考文献を購入する必要はありません。
・授業課題として内容に関する簡単な記述問題を課します。また、課題内に質問欄を設けますので、授業内でわからなかった箇所についてはそこで質問をしてください。
・課題はK-LMS上で課します。課題の提出には、インターネットにつなげられる機器(タブレットやスマートフォン、PC)が必要です。