慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
芸術(音楽)
担当教員名
池上 健一郎
科目設置 総合教育科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 3分野科目/人文科学分野 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 -
設置年度 2020 授業コード 12009
開講期間 II期 8/18~8/23 曜日・時間等 1~2限 9:00~12:45

授業科目の内容

【西洋音楽と自然】
 あらゆる芸術は、それが生まれた風土や環境と分かちがたく結びついています。それは西洋音楽も例外ではありません。多くの作曲家にとって自然は創作の規範であり続けましたし、自然の価値を(再)発見することによって新しい音楽表現の可能性を見出した作曲家も少なくありません。
 この講義では、西洋音楽において自然はどのように表現されてきたのか、そしてその根底にある西洋の自然観や自然のイメージはどのようなものだったのか、といった問題を考えてゆきます。主に17世紀から20世紀までの音楽史を扱います。毎回、特定の楽曲を取り上げながら、各作曲家や時代特有の自然表現の方法、およびその移り変わりをたどります。また、西洋社会における自然観や美意識の変遷というより大きな枠組みを理解するために、音楽だけではなく同時代の文学や絵画にも適宜触れる予定です。したがって、受講者には、西洋の文化や芸術全般に対する広い関心を期待します。

第1回講義内容
イントロダクション

第2回講義内容
アルカディアと音楽―モンテヴェルディ《オルフェオ》

第3回講義内容
18世紀の自然観と〈描く音楽〉―ハイドンのオラトリオ《天地創造》(1)

第4回講義内容
18世紀の自然観と〈描く音楽〉―ハイドンのオラトリオ《天地創造》(2)

第5回講義内容
自然の体験と感情の表現―ベートーヴェン《交響曲第6番「田園」》(1)

第6回講義内容
自然の体験と感情の表現―ベートーヴェン《交響曲第6番「田園」》(2)

第7回講義内容
ロマン主義と失われたアルカディア―ベルリオーズの場合

第8回講義内容
ロマン主義と失われたアルカディア―シューベルトの場合

第9回講義内容
「自然の音のように」―マーラーの自然観と音楽観

第10回講義内容
「野外の音楽」―ドビュッシーの自然観と音楽観

第11回講義内容
ノイズ、無秩序、沈黙―20世紀の音楽と自然

第12回講義内容
総括

その他の学習内容
  ・課題・レポート

成績評価方法

授業内容や視聴する楽曲に関する毎回の小レポートをもとに成績を評価する。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する

参考文献

ナチュール―音楽と自然/エマニュエル・レベル著、西久美子訳 アルテスパブリッシング 2016
西洋音楽史―「クラシック」の黄昏/岡田暁生 中公新書 2005

受講上の要望、または受講上の前提条件

受講にあたって、演奏経験や楽典の知識は前提としません。参考のために楽譜を配布することもありますが、楽譜が読めなくても講義自体は理解できるよう配慮します。むしろ、主体的に音楽を聴き、感じ、考える姿勢を求めます。また、講義をより深く理解するために、西洋音楽史の大まかな流れをあらかじめ学んでおくと良いでしょう。