慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
哲学(専門)
担当教員名
横路 佳幸/石田 隆太
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 第1類 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 経済学部、法学部でも開講する
設置年度 2020 授業コード 52001
開講期間 II期 8/18~8/23 曜日・時間等 1~2限 9:00~12:45

授業科目の内容

 本講義では、哲学の重要な一分野である形而上学において論じられてきた諸問題について考えることで、哲学そのものの理解を深めることを目指す。
 形而上学は、世界・実在の存在やその一般的な特徴を明らかにすることを目標とする。たとえば、「この世界には何が存在するのか」という問いは、形而上学の分野で提起される問題である。形而上学は、哲学を代表する分野であると同時に、ヨーロッパでは古代ギリシア以来長い歴史を持つ分野である。
 石田のパートでは、西洋哲学史を主な題材としながら、伝統的な形而上学において問題とされてきたことの中からトピックを厳選し、毎回異なるテーマを考察する。具体的には、形而上学とは何かという問題から始めて、神の存在、魂の不滅、目的論と機械論、人間の自由、偶然性を考察対象とする予定である。
 横路のパートでは、現代形而上学の数あるトピックの中から、「同一性」の概念に焦点を絞り、関連する諸問題やパズルの解決策を考察する。とりわけ、多元論、一元論、四次元主義、そしてそれ以外の立場がどのようにして同一性の諸問題を解決するかを(なるべくわかりやすく平易な仕方で)考える。

-----------------------------------------------------------------------
【必読】オンライン授業での実施に伴い、本講義の実施方法は、下記のように変更する。

①授業形態は、オンデマンドによる資料掲載と、リアルタイムでの映像配信を併用する。なお、リアルタイムでの映像配信は録画され、授業後kcc-trackで視聴可能とする。

②履修者は、kcc-trackにアップロードされる講義資料を熟読すること。資料は【8月14日12時】にアップロード予定である。石田担当分(第1~6回)については18日までに、横路担当分(第7~12回)については21日までに熟読すること。

③kcc-trackを利用したリアルタイムでの映像配信は、当初の開講期間・開講時限の2限目に相当する【8月18日~23日の11時~12時45分】の時間帯で実施する。
ただしこの配信は、履修者による質疑応答を受け付ける時間とし、資料を読んでわからなかった点や不明な点がある者は、この配信内に質問すること。

④成績の評価方法は、レポート提出とする。レポートの形式・課題は、講義資料の中で指定する。
なお、リアルタイム配信内での質問の有無・内容も成績評価に考慮する場合がある(第七回以降の横路担当分のみ)。

⑤kcc-trackを利用したレポート提出の〆切は、【8月23日23時59分(日本時間)】とする。

第1回講義内容
【形而上学とは何か】ガイダンスの後、哲学史の中で論じられてきた形而上学とはどのような分野なのかを考察する。

第2回講義内容
【神の存在】哲学者たちによる神の存在証明にはどのようなものがあるのかを考察する。

第3回講義内容
【魂の不死】哲学者たちが論じる「魂」について理解を深めるとともに、魂の不死に関する言説の哲学的意義を考察する。

第4回講義内容
【目的論と機械論】この世界や世界のうちにあるさまざまな現象を捉える主要な二つの考え方として目的論と機械論を取りあげながら、それらの哲学的意義を考察する。

第5回講義内容
【人間の自由】神の存在、魂の不死と並ぶ、形而上学の主要テーマである人間の自由を形而上学の問題として考察する。

第6回講義内容
【偶然性】必然性や可能性と対置されることの多い偶然性について、形而上学ひいては哲学の問題として何が言えるのかを考察する。

第7回講義内容
【同一性の諸問題】現代形而上学のトピックとして、「同一性」の概念に焦点を当て、どのような問題やパズルがあるのかを考察する。

第8回講義内容
【諸問題の解決(1)】同一性の諸問題への解決策として、いわゆる多元論の立場(構成主義と質料形相論)を考察する。

第9回講義内容
【諸問題の解決(2)】同一性の諸問題への解決策として、いわゆる一元論の立場(相対主義やメレオロジカルな本質主義)を考察する。

第10回講義内容
【諸問題の解決(3)】同一性の諸問題への解決策として、いわゆる四次元主義(ワーム説や段階説)を考察する。

第11回講義内容
【諸問題の解決(4)】同一性の諸問題への解決策として、残された立場(規約主義やニヒリズム)を考察する。

第12回講義内容
【まとめ】第6回から第11回の総括

その他の学習内容
  ・質疑応答を講義時間の随時受け付ける。

成績評価方法

レポート

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する

参考文献

よくわかる哲学・思想/納富 信留・檜垣 立哉・柏端 達也 編著 ミネルヴァ書房 2019
現代存在論講義II——物質的対象・種・虚構/倉田 剛 新曜社 2017
四次元主義の哲学——持続と時間の存在論/セオドア・サイダー 春秋社 2007
近代哲学の精神——西洋形而上学の六つの大テーマと中世の終わり/ハインツ・ハイムゼート 法政大学出版局 1995
形而上学——その概念の批判的概観(増補版)/安藤 孝行 勁草書房 1965

受講上の要望、または受講上の前提条件

予備知識は特に必要としません。