科目名 | |||
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近代日本文学 | |||
担当教員名 | |||
小平 麻衣子 | |||
科目設置 | 文学部専門教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
科目種別・類 | 第3類 | 単位 | 2 |
キャンパス | 三田 | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2020 | 授業コード | 52061 |
開講期間 | II期 8/18~8/23 | 曜日・時間等 | 1~2限 9:00~12:45 |
女性作家の作品を中心に講義する。今日、女性だけを区別して何かを行うことが、よいとは思わない。均等な機会のためであるのはもちろん、女性に共通する性質を抽出するのが目的でもなく、またできるわけもないからである。ただし、過去を扱う文学史に関しては、やや異なる事情がある。過去のジェンダー・バイアスに基づいて評価・形成された文学史については、そこに浮上できなかった作家や作品は、わざわざ取り上げ直すことをしなければ、文学的価値が低いものと勘違いされ、埋もれたままになってしまうからである。この授業では、『青鞜』以降の女性作家を複数取り上げ、検討を加える。〈女性ならでは〉とイメージされる恋愛やセクシュアリティのテーマだけでなく、そもそもそうした〈女性〉のイメージがどのように形成され、作家はそれとどのように交渉し、書きかえるのか、男性作家によるイメージ構築や、一般読者の投稿なども視野に入れて考える。
第1回講義内容
『青鞜』と書くべきジャンル
第2回講義内容
田村俊子「女作者」など
第3回講義内容
大正教養主義と田村俊子
第4回講義内容
モダン・ガールと恋愛論
第5回講義内容
林芙美子「放浪記」の戦略(1)
第6回講義内容
林芙美子「放浪記」の戦略(2)
第7回講義内容
太宰治「女生徒」の女性表象
第8回講義内容
川端康成の女性作文指導
第9回講義内容
野上弥生子「迷路」(1)
第10回講義内容
野上弥生子「迷路」(2)
第11回講義内容
倉橋由美子と江藤淳
第12回講義内容
レポート・総括
その他の学習内容
・課題・レポート
平常点(講義内でのコメントなど)とレポートによる総合評価。
プリントを適宜配布する
放浪記/林芙美子 新潮文庫 1979
迷路(上・下)/野上彌生子 岩波文庫 1984
暗い旅/倉橋由美子 河出文庫 2008
いずれの作品も、指定のテキストが入手困難な場合は、全集などで読んで差し支えない。
授業時間に配布する短編小説、参考文献に挙げた長編小説は、それぞれの講義の前にあらかじめ通読しておくことが望ましい。レポートの執筆には必ず必要になるので、各自の関心に従い、最低1作品は読了すること。