科目名 | |||
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ドイツ文学研究 | |||
担当教員名 | |||
川島 建太郎 | |||
科目設置 | 文学部専門教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
科目種別・類 | 第3類 | 単位 | 2 |
キャンパス | 日吉 | 共通開講学部 | - |
設置年度 | 2020 | 授業コード | 52053 |
開講期間 | I期 8/11~8/16 | 曜日・時間等 | 3~4限 14:15~18:00 |
本講義では、『変身』や『訴訟』などで知られるフランツ・カフカ(1883-1924)の文学に取り組みます。カフカはプラハ出身のユダヤ系の作家ですが、20世紀のドイツ文学のなかで際だった存在です。20世紀初頭のドイツ語圏には重要な作家が多数いますが、カフカほど現代文学や現代思想に刺激を与え続けている作家はほかにいないと思われます。ドイツ語圏ではもちろんですが、日本の現代でも、多和田葉子や村上春樹などの重要な作家が、カフカ文学のモティーフを継承しています。それだけ、カフカが作家としてかかえていた問題が、普遍的であったということです。それはすなわち、カフカを学ぶことで、20世紀文学がかかえている問題が見えてくる、ということでもあるでしょう。カフカを集中的に考察することから、現代文学にアプローチするヒントを得ていただければ、と考えています。
本講義では、第一にカフカの重要な短編小説を紹介します。『判決』『変身』「あるアカデミーへの報告」「掟の前で」「ある流刑地にて」「田舎医者」「断食芸人」「狩人グラックス」「歌姫ヨゼフィーネ、あるいは鼠族」を中心的に取りあげる予定です。これらの作品を解釈しながら、カフカが直面していた問題とは何かを考えてゆきます。第二に3つの長編小説——『失踪者』『訴訟』『城』——の粗筋および特徴を紹介します。それによって、カフカの「世界観」とはどのようなものか、考えてゆきます。第三にカフカ作品の映画化や、重要なカフカ論、カフカに触発された文学作品を紹介します。それによって、カフカが20世紀においてどのように受容されてきたかを考察します。
第1回講義内容
導入—カフカの人生、カフカの時代
第2回講義内容
『判決』
第3回講義内容
『変身』
第4回講義内容
『失踪者』
第5回講義内容
「掟の前で」
第6回講義内容
『訴訟』
第7回講義内容
「田舎医者」
第8回講義内容
「流刑地にて」
第9回講義内容
「断食芸人」「狩人グラックス」
第10回講義内容
「歌姫ヨゼフィーネあるいは鼠族」『城』(1)
第11回講義内容
『城』(2)
第12回講義内容
総括
その他の学習内容
・課題・レポート
小レポート(5回程度)とレポートで成績評価する。
変身、掟の前で 他2編/フランツ・カフカ 光文社古典新訳文庫 2007
プリントを適宜配布する
1冊でわかる カフカ/リッチー・ロバートソン 岩波書店 2008
テキスト(教科書)は必ず指定された版(光文社古典新訳文庫)を購入すること。別の版だと、講義を聞く際に混乱が生じます。また、テキストは1度目を通したうえで講義にのぞんで下さい。
参考書は、大変優れた内容で、お勧めの書物ですが、購入は必須ではありません。