科目名 | |||
---|---|---|---|
破産法 | |||
担当教員名 | |||
河村 好彦 | |||
科目設置 | 法学部専門教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
科目種別・類 | 甲類・乙類 | 単位 | 2 |
キャンパス | 日吉 | 共通開講学部 | 経済学部でも開講する |
設置年度 | 2020 | 授業コード | 72016 |
開講期間 | I期 8/11~8/16 | 曜日・時間等 | 1~2限 9:00~12:45 |
ある者が経済的に破綻した場合、これを放置しておくと、債務者に弁済を強要した冷たい(?)債権者は自己の債権の満足を受けることができるのに対し、債務者に同情してその自発的な弁済を待っていた優しい(?)債権者は債権満足の機会を失うという不公平が生じる。また債務者としても、自己の破綻状態を隠して経済活動を続けるときには経済的再起がますます困難になるし、さらには取引先、従業員その他の社会に与える影響も増大する。そこでこのような場合に、対立するさまざまな利益を調整して適切な処置をとることを目的とする法体系が必要となる。これが倒産法である。
破産法は、倒産法のうちのもっとも基本となる法律である。実体法上の権利および法律関係は、破産手続きにおいてダイナミックな変容を受ける。学生諸君は、先取特権、抵当権などの担保物権、また売買、賃貸借などの契約や、連帯債務、保証債務などの債権関係が破産によりどのような影響を受けるかを学習する。したがって、破産法を理解するためには民法の理解が不可欠の前提となるとともに、学生諸君は破産法の学習により実体法上の権利および法律関係についてのより深い理解が得られることになるであろう。
本講義は、以上のような実体法の変容についての検討に重点をおいた、破産手続き全般の概説をその目的とする。
第1回講義内容
破産法と倒産法;倒産と破産、各種の倒産処理手続き
第2回講義内容
破産手続きの開始
第3回講義内容
破産手続きの機関、破産者のプラス財産の確定(その1);破産財団
第4回講義内容
破産者のプラス財産の確定(その2);破産財団の管理および換価、否認権
第5回講義内容
破産者のプラス財産の確定(その3)続・否認権
第6回講義内容
破産者のマイナス財産の確定(その1);破産債権、財団債権、取戻権など
第7回講義内容
破産者のマイナス財産の確定(その2);別除権、相殺権など
第8回講義内容
破産者をめぐる法律関係の処理(その1);破産手続開始決定前からの契約などの処理
第9回講義内容
破産者をめぐる法律関係の処理(その2);続・破産手続開始決定前からの契約などの処理
第10回講義内容
破産者をめぐる法律関係の処理(その3);係属中の民事訴訟、民事執行その他の手続きの処理、破産手続開始決定後の破産者の行為
第11回講義内容
破産手続きの終了;配当など
第12回講義内容
総括
その他の学習内容
・プリントをよく読んで理解を定着させること。
課題レポートにより評価する。
プリントを適宜配布する
破産法・民事再生法〔第4版〕/伊藤眞 有斐閣 2018
〈概説〉倒産法/三上威彦 信山社 2018
破産法(新基本法コンメンタール)/山本克己ほか編 日本評論社 2014
プリントを読む際には必ず六法で条文を確認すること。また、プリントは民法に関する基礎的な知識を有していることを前提に記載しているので、民法の理解が不充分な場合は民法の教科書で補完すること。