慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
教育思想史
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 第1類 単位 4
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2020 授業コード T0EA001102

講義要綱

〔授業の到達目標及びテーマ〕
 近代西洋の教育思想史を理解し、現代の教育的思考の現在位置を確認する。
〔授業の概要〕
 現代教育の理念的基盤が成立した18、19、20世紀のヨーロッパとアメリカの教育思想史および人間形成論を概観する。
〔授業計画〕
 指定教科書の主な構成は以下の通りである。
はじめに 西洋教育思想史は何のために学ぶのか
第Ⅰ部 西洋教育思想の伝統
 第1章 古典古代の教育思想
  第1節 古代ギリシアの教育思想
  第2節 ヘレニズム・ローマの教育思想
 第2章 中世の教育思想
  第1節 キリスト教の形成
  第2節 中世宗教施設・制度と教育思想
  補論1 中世大学の誕生
 第3章 近世の教育思想
  第1節 ルネサンス期の人間形成論と教育思想
  第2節 宗教改革期の人間形成論と教育思想
 第4章 「教育的世界」の誕生── コメニウス教育思想
  第1節 17世紀オランダの文化環境
  第2節 コメニウスの教育構想
第Ⅱ部 市民革命・市民社会時代の教育思想と陶冶論(人間形成論)18世紀~19世紀前半
 第5章 啓蒙主義期の教育思想 
  第1節 イギリス啓蒙主義期の教育思想
  第2節 アメリカ啓蒙主義期の教育思想
  第3節 フランス啓蒙主義期の教育思想
  第4節 ドイツ語圏啓蒙主義期の教育思想
 第6章 古典的陶冶論(人間形成論)の誕生
  第1節 ʻ反ʼ啓蒙主義の人間観と陶冶論(人間形成論)
  第2節 シラーと美的陶冶論(人間形成論)の誕生 
  第3節 フンボルトの新人文主義的陶冶論(人間形成論)
  第4節 ロマン主義の子ども観と陶冶論(人間形成論)
  第5節 ドイツ観念論哲学と陶冶論(人間形成論)・教育思想
 第7章 古典的教育学の誕生
  第1節 ペスタロッチ教育学
  第2節 ヘルバルト教育学
  第3節 シュライアマハー教育学
  第4節 フレーベル教育学
  補論2 ヨーロッパエリート中等教育機関の教育思想
  補論3 近代高等教育機関の教育思想
第Ⅲ部 国民国家・資本主義の時代 19世紀中葉~20世紀
 第8章 イギリスの教育思想
  第1節 初期社会主義の教育思想
  第2節 古典的自由主義の教育思想
  第3節 ロマン主義的社会主義の教育思想
  第4節 新教育運動の教育思想
 第9章 フランス語圏およびイタリアの教育思想
  第1節 19世紀前半フランス社会における自由・平等と教育
  第2節 デュルケーム──社会の所産・社会的事実としての教育
  第3節 新教育運動の教育思想
 第10章 アメリカの教育思想
  第1節 進歩主義教育運動の思想
  第2節 デューイの教育思想
  第3節 進歩主義教育批判の諸相
  補論4 アメリカ「児童研究」から教育心理学へ
 第11章 ドイツの教育思想
  第1節 19世紀前半の社会と教育
  第2節 アードルフ・ディースターヴェークの教育思想
  第3節 19世紀後半(ドイツ帝国期)の社会と教育思想
  第4節 古典的陶冶・教養観への批判と文化批判
  第5節 ドイツ青年運動
  第6節 ドイツ新教育運動
  第7節 教育学の新たな展開
  補論5 実験的教育学と精神科学的教育学
  補論6 ナチズムと教育思想
 第12章 第二次世界大戦後の教育思想と教育学
  第1節 戦後社会と教育思想
  第2節 加速する近代化と教育思想・教育学
 おわりに

テキストの読み方

全体を通読した上で、直接、課題のテーマにかかわる18世紀以降の部分を精読すること。

履修上の注意

教育学に関する基礎知識、西洋史の知識を学んだ上で履修するのが望ましい。

関連科目

教育学

成績評価方法

レポートの合格を前提として科目修得試験によって評価する。

参考文献

今井康雄編『教育思想史』(有斐閣、2009年)

レポート作成上の注意

取り上げる思想家の主著(翻訳書可)一冊と、その思想家についての研究書を一冊以上読了した上で、レポート作成に取り組んでほしい。