慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
アメリカ文学
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 第3類 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2020 授業コード T0EA004104

講義要綱

授業の到達目標及びテーマ〕

 17世紀から21世紀へ至る具体的な作品を総覧することで、アメリカ英語の独特な表現はもとより土壌となる文化への理解、それらが生み出した時代ごとの文学的名作を通しアメリカ文明史そのものへの理解を深めることを到達目標とする。

〔授業の概要〕
 アメリカ文学に親しむには、植民地時代以来、アメリカ文学史において長く培われたアメリカン・ナラティヴの形成と発展に注目することが不可欠である。コロニアリズムからポスト・アメリカニズムへおよぶ射程の中で、文学はいったいどのように歴史と連動したのか、あるいは歴史はいかに文学を創造したのか、アメリカ文学思想史の可能性を探る。
 その学習過程では、17世紀から21世紀へ至るアメリカ英語表現はもとより土壌となる文化、それらが生み出した時代ごとの文学的名作を通したアメリカ文明への理解を深めていくことになる。

テキスト

巽孝之『アメリカ文学史─駆動する物語の時空間』慶應義塾大学出版会、2003年

※「アメリカ文学」は上記市販書と、配本テキストのアンソロジー『アメリカ文学』の2冊が指定テキストとなります。

テキストの読み方

指定教科書の主な構成は、次のとおりである。
(1)巽孝之『アメリカ文学史――駆動する物語の時空間』(慶應義塾大学出版会、2003年)
はじめに――「アメリカ文学史」とは何か
第1章 アメリカ文学史序説――ロード・ナラティヴの千年紀
第2章 神権制下の文学――ピューリタニズム
第3章 独立革命の文学――リパブリカニズム
第4章 膨張主義の文学――トランセンデンタリズム
第5章 進化思想の文学――ダーウィニズム
第6章 荒地以後の文学――コスモポリタニズム
第7章 冷戦危機の文学――ポスト・アメリカニズム
第8章 アメリカ文学の正典を読む

(2)巽孝之『アメリカ文学』(慶應義塾大学教材 通信教育課程テキスト、2010年)
CHAPTER ONE
 John Winthrop, “A Model of Christian Charity” (1630)
  著者と作品、英文、解説
CHAPTER TWO
 Benjamin Franklyn, “The Speech of Miss Polly Baker” (1747)
  著者と作品、英文、解説
CHAPTER THREE
Thomas Jefferson, “The Declaration of Independence” (1776)
  著者と作品、英文、解説
CHAPTER FOUR
Edgar Allan Poe, “Hop-Frog” (1849)
  著者と作品、英文、解説
CHAPTER FIVE
Ambrose Bierce, “An Occurrence at Owl Creek Bridge” (1890)
  著者と作品、英文、解説
CHAPTER SIX
Mark Twain, “The War-Prayer” (1904-05)
  著者と作品、英文、解説
CHAPTER SEVEN
F. Scott Fitzgerald, “The Swimmers” (1929)
  著者と作品、英文、解説
CHAPTER EIGHT
Thomas Pynchon, “Entropy” (1960)
  著者と作品、英文、解説
CHAPTER NINE
Karen Tei Yamashita, “Siamese Twins and Mongoloids” (1999)
  著者と作品、英文、解説

履修上の注意

仮に市販の翻訳があるテクストでも、必ず原文で読むことを条件とする。
レポートを書く際、既成の文献から盗作した場合は自動的に失格とする。

成績評価方法

レポートの合格を前提として科目修得試験によって評価する。

参考文献

Peter High, An Outline of American Literature. New York: Longman, 1986.


巽孝之『ニュー・アメリカニズム─米文学思想史の物語学』増補決定版、青土社、2019年

レポート作成上の注意

教科書を熟読した上で、その方法論を活かしつつ、代表的作品群を読み解くことが、このレポート課題の学生諸君に要求するところである。したがって、明らかに下記の三点に違反するものは不合格とする。
(1)アンソロジー収録作品原典を必ず読み、そのことがはっきりわかるように原文からの引用と、自身による試訳も含むこと。
(2)教科書で扱われているアンソロジー収録以外の作品の場合、教科書をふまえながらも、できるだけ別の見解を編み出すこと。
(3)教科書で扱われていない作品の場合、その作家に関する他作品及び二次資料をも、図書館できちんと調査・収集してから分析すること。なお、レポートにはときとして教科書の記述を丸写しにして恥じないものが少なくない。そういう姿勢が露呈した場合、自動的に不合格となるので覚悟されたい。