慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
新・会社法(J)
科目設置 法学部専門教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 甲類・乙類 単位 4
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2020 授業コード T0EC000305

講義要綱

会社法は、会社関係者の利益を調整する法で、私法に分類される。平成17年に制定された会社法は、株式会社以下4種の会社を定める。会社の種類は、主として、出資者である社員(会社構成員、株式会社では株主)が会社債権者にどのような責任を負うかにより区別される。社員の責任とは、社員と会社債権者との調整の問題である。株式会社では、経営は、株主総会で選ばれた取締役に委ねられる(所有と経営の分離)。それは、会社支配権(取締役の選解任権)が株主にあることから正当化される。しかし、株主の支配権能がうまく機能しない場合もありうるし、経常的にも、チェック体制を調える必要がある。所有と経営が分離する株式会社において、いかに効率的経営を実現するかがコーポレート・ガバナンスの問題である。
 会社法は、平成26年に、制定後最初の大きな改正を受け、同27年5月から改正法が施行された。また、平成29年民法改正(令和2年4月より順次施行)は、会社法の適用にも影響することになる。テキストは、平成29年民法改正をも踏まえて改訂されたものである。なお、学習に当たっては、平成30年商法改正(同31年4月施行)や令和元年会社法改正があったことにも注意されたい。

テキスト

山本爲三郎『会社法の考え方(第10版)』八千代出版、2017年
※テキストは、最新版の使用が望ましい。やむをえず古い版を使用する場合には、少なくとも平成26年会社法改正を反映した版を使用すること。

テキストの読み方

会社法全体を理解するには、時間と根気を要する。細部にこだわらずにテキスト全体を通読して全体像を把握する、あるいは、株式・機関の辺りをまず熟読してそれを理解したのちに、他の部分に進むなど、工夫してみてほしい。なお、科目試験範囲はテキスト第26章株式会社の資金調達までとする。

関連科目

商法総則・商行為法、手形法、保険法

成績評価方法

科目試験による。

参考文献

田中亘『会社法(第2版)』東京大学出版会、2018年
江頭憲治郎『株式会社法(第7版)』有斐閣、2017年
鈴木千佳子『入門講義会社法(第2版)』慶應義塾大学出版会、2017年
宮島司『新会社法エッセンス(第4版補正版)』弘文堂、2015年

レポート作成上の注意

 テキストだけでなく、他にも参考書を読むなどして、問題点を多角的に分析し、再構成することを心がけてほしい。また、会社に関する法制度は頻繁に改正を受けているため、参考文献を用いる際は、どの時点で執筆された文献かをよく見極め、常に最新の規定との整合性を検討しなくてはならない。