慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
経済法(J)
科目設置 法学部専門教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 甲類・乙類 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2020 授業コード T0EC002004

講義要綱

 本講義は、経済法の中核をなし、その基本的秩序を形成する「独占禁止法」の法構造とその最新の論点を学習することを目的としている。独占禁止法は競争法とも呼ばれており、市場経済の中核をなす法律である。また独占禁止法は、企業法務においても、非常に重要な法分野となっている。カルテル・談合規制のみならず、再販売価格維持行為、優越的地位の濫用規制など日々のビジネスに密接に関係する法規制が多く、きわめて実務に直結した法分野である。他方、経済法(競争法)は、グローバルな色彩が強く、比較法的な視点からの分析が盛んであり、経済法を学ぶことによって、実務の現状を理解することもできる。この経済法に関して、その中核をなす競争法の法原理・法構造の理論的な解説とともに、判例・審決を中心とするケーススタディを通じて、応用可能な知識の習得を目指す。なお適宜、比較法的な観点から米国、欧州そして中国の競争法規制にも言及することがある。

テキスト

土田和博、栗田誠、東條吉純、武田邦宣『条文から学ぶ独占禁止法』有斐閣、2014年

テキストの読み方

 テキストを読む際には、理論的な説明とともに、事例について出来るだけ原文を参照するなどして、事例から考えることを意識してほしい。事例については、公正取引委員会のホームページで閲覧できる。また図書館で審決集や判例集を調べるという作業も併せて行ってほしい。

履修上の注意

 履修に際し、他の特定の科目を事前に履修している必要はない。なお経済法は、ミクロ経済学、産業組織論との関連性が深いので、講義において適宜、言及する場合がある。

関連科目

 経済法・独占禁止法は、取引を扱うため、民法、商法、会社法とも関わりがある。経済活動に対する公的な規制という観点からすれば、憲法や行政法との関係も深い。他方、各種事業法との関係も深い。また経済法の理論的前提のなかには、ミクロ経済学、産業組織論、最近ではゲーム理論の影響も見られる。このような法学分野以外の隣接領域も関連分野となる。

成績評価方法

科目試験による。

参考文献

『独占禁止法 第3版』白石忠志著 有斐閣 2016年 ISBN:978-4641144934
『独占禁止法〔第3版〕』菅久修一 商事法務 2018年 ISBN:978-4785726331
『産業組織とビジネスの経済学(有斐閣ストゥディア)』花薗誠著 有斐閣 2018年 ISBN:978-4641150591
『経済法判例・審決百選 第2版(別冊Jurist)』金井貴嗣編 有斐閣 2017年 ISBN:978-4641115347

レポート作成上の注意

 レポート作成に際しては、次の3点に注意して調査・執筆することを求める。第一に、課題の内容を十分に理解し、課題に対し適切な解答となるレポートを作成する必要がある。この点、レポートのなかには、課題と無関係な記載になっていて不合格となる場合がある。第二に、課題は、教科書を読むだけでは執筆できない。調査が必要であり、参考文献や論文そして判例や審決について十分な調査を行っていなければレポートとして評価対象とならない。第三に、引用のルールの厳守である。教科書や概説書をそのまま引用している場合や、判例の引用なのか、個人の意見なのか、混同している例が多く、疑わしい場合は、評価対象とならないだけでなく、不正なレポートと判断される可能性がある。