慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
教育相談論
科目設置 教職科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 単位 1
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2020 授業コード T0F0005401

講義要綱

本科目では、教師による子どもへの援助の在り方や、不登校・いじめ・学級崩壊など、教育現場の抱える課題、さらには「教育相談」という視点から概観していく。
〔授業の到達目標及びテーマ〕
(1) 学校における教育相談の意義と理論を理解する。
 1) 学校における教育相談の意義と課題を理解している。
 2) 教育相談に関わる心理学の基礎理論・概念を理解している。
(2) 教育相談を進める際に必要な基礎知識(カウンセリングに関する基礎的事柄を含む)を理解する。
 1) 幼児、児童および生徒の不適応や問題行動の意味並びに幼児、児童および生徒の発するシグナルに気づき把握する方法を理解している。
 2) 学校におけるカウンセリングマインドの必要性を理解している。
 3) 受容・傾聴・共感的理解等のカウンセリングの基礎的な姿勢や技法を理解している。
(3) 教育相談の具体的な進め方やそのポイント、組織的な取り組みや連携の必要性を理解している。
 1) 職種や校務分掌に応じて、幼児、児童および生徒並びに保護者に対する教育相談を行う際の目標の立て方や進め方を例示することができる。
 2) いじめ、不登校・不登園、虐待、非行等の課題に対する、幼児、児童および生徒の発達段階や発達課題に応じた教育相談の進め方を理解している。
 3) 教育相談の計画の作成や必要な校内体制の整備など、組織的な取り組みの必要性を理解している。
 4) 地域の医療・福祉・心理等の専門機関との連携の意義や必要性を理解している。
〔授業の概要〕
 教育相談は、幼児、児童および生徒が自己理解を深めたり好ましい人間関係を築いたりしながら、集団の中で適応的に生活する力を育み、個性の伸張や人格の成長を支援する教育活動である。幼児、児童および生徒の発達の状況に即しつつ、個々の心理的特質や教育的課題を適切に捉え、支援するために必要な基礎知識(カウンセリングの意義、理論や技法)を身につけることを目指す。
〔授業計画〕
 日々様々な出来事が起こる学校現場で児童・生徒が直面する諸問題に適切に対処するには、心理学と発達的な観点から児童・生徒の置かれた状況を的確にとらえ、理論的理解に基づいたより効果的な対応について考えることが重要となる。具体的には幼児、児童および生徒、個々の心理的特質や教育的課題を適切に捉え、理論的理解に基づいた教育相談を行い支援していくことである。本科目では、教育相談の意義と理論、教育相談の方法、教育相談の展開について総合的に検討し、自らが有効な教育相談のあり方について考えられるようにすることを目標に授業を進めていく。指定教科書の構成は以下の通りである。
 序 章:はじめに─教育相談を学ぶ意味─
 第1章:生徒理解のための心理学─理論と実践の双方向からの多面的理解─
 第2章:アセスメント─多面的に子どもを理解する視点と方法
 第3章:カウンセリング─信頼関係を築き、子どもを援助する方法─
 第4章:コンサルテーション─より良い指導・援助のための協働─
 第5章:ソーシャルスキル教育─人間関係を広げ、深める援助の方法
 第6章:ストレスマネジメント教育─様々なストレスに対応する力の醸成
 第7章:キャリア教育─自分らしい生き方を作り上げるために
 第8章:不登校・中途退学─子どもたちの登校を支える工夫
 第9章:いじめ─適切な実態把握と予防・対応に向けて
 第10章:発達障害─子どもの発達特性を踏まえた理解と援助
 第11章:学校の危機管理─子どもの安全を守る予防と対応
 第12章:学級経営による子どもの援助─問題行動と学級崩壊を予防する

テキスト

藤田哲也監修『絶対役に立つ教育相談─学校現場の今に向き合う』ミネルヴァ書房、2017年

テキストの読み方

各項目を精読し、教育相談に関するキーワードを自分のものとすること。各章の練習問題やアクティヴ・ラーニングに取り組み、章末の解説を参考に理解を深めること。各章で紹介する関連分野の文献も読みすすめること。

履修上の注意

自分自身が教師として子どもに接し、実際に教育相談を行う場面を想定しながら学習を進めて欲しい。特に子ども達が学校生活の中で直面する問題や、教育関連分野への幅広い興味関心を持って履修することが大切である。

関連科目

本科目の履修条件というわけではないが、生活指導論、生徒指導論や教育臨床論との関連が深いことから、あわせて履修することが望ましい。

成績評価方法

レポートの合格を要件として科目試験の成績によって評定する。

参考文献

テキストの各章に紹介されているので、それらを参考にすること。

レポート作成上の注意

教科書や参考書の内容をまとめるだけ、あるいは文献の切り貼りだけのレポートにならないようにすること。教科書や参考書で理解したこと、自分のものとして十分に咀嚼した上で、それについて自分の考えを必ず入れること。また自分の考えを述べる際には、なぜそう考えるのかという理由や根拠も必ず挙げること。参考文献は、教科書の各章において紹介されている。それらを参考にするばかりでなく、それ以外の文献を参考にしても構わない。文献を引用する場合は、出版社、出版年を含めて、引用したページを明記し、レポートの末尾に、「参考文献」としてまとめること。ただし「参考文献」は文字数にはカウントしません。