慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
英語(リーディング)E
担当教員名
上野 大樹
科目設置 総合教育科目 授業形態 夜間スクーリング
科目種別・類 外国語科目/英語 単位 1
キャンパス 三田 共通開講学部 -
設置年度 2020 授業コード 22015
開講期間 10月1日(木)~12月24日(木) 曜日・時間等 木曜日、18:20~20:05

授業科目の内容

「英語で哲学的エッセイを読む」
 原書で哲学書を読むというのは、かなりハードルが高く聞こえるかもしれません。実際、哲学科の専門的な講読では、日本語で書かれていても難解なのにましてや外国語でとなるとなかなか忍耐強く継続することが難しく、脱落してしまうケースも少なくありません。そこでこの授業では、西洋の哲学・思想に原典で触れてみたいが専門的なトレーニングを受けたことはないという受講者を対象に、エッセイ風に書かれた大哲学者の小品をじっくりと読んでいくというアプローチをとります。かつ、相対的に現実生活との接点が豊富でそのぶん理解しやすいであろう近代の政治哲学・社会哲学の作品をとりあげます。
 「啓蒙の世紀」と呼ばれる18世紀は、グランド・ツアーと呼ばれる大陸ヨーロッパ周遊旅行が流行しました。哲学・思想はどうしても抽象性や体系性が前面に出てしまいますが、当時の啓蒙知識人たちはさまざまな国の文化を実地に体験し見分を広めることも、思想家にとって不可欠なことだと考えていました。啓蒙思想家たちで、分厚い体系的な哲学書を書いたひとはむしろ少数派で、多くはいわばエッセイストやモラリストとして、気の利いた小品を数多くものしていたといえます。じつは、そうした哲学者のなかでもずば抜けて難解な書物で有名になったカントでさえ、生地の港湾都市ケーニヒスベルクに集まってくる異国からの多種多彩な情報にアンテナを張り巡らせ、世界の多様な異文化に関心を寄せながらエスプリのきいた人間観察を著していたのです。本授業では、そうしたあまり大部ではないエッセイ的評論として、18世紀イギリスの哲学者デイヴィッド・ヒューム(David Hume)の『道徳・政治・文学論集』の一部を読んでいきます。外国語と格闘しながら論理的思考と想像力を鍛え、同時に思想の歴史的・社会的背景を踏まえたテクストの読解ができるようになることが目標です。
 講読テクストは、以下のサイトにある、Essays Moral, Political, Literary (LF ed.) を用いるので、各自で探してダウンロードしておくこと。各回ごとの分量はそれほど多くないので、必ず各自でプリントアウトしたものを用意してきてください。
https://oll.libertyfund.org/

第1回講義内容
"Of the Delicacy of Taste and Passion"を読む(1) ※ オンライン授業への変更のため、初回はガイダンスおよび簡単な授業内容紹介に変更。

第2回講義内容
"Of the Delicacy of Taste and Passion"を読む(2)

第3回講義内容
"Of the Liberty the Press"を読む

第4回講義内容
"Of the First Principles of Government"を読む

第5回講義内容
"Of the Independency of Parliament"を読む

第6回講義内容
"Of Parties in General"を読む

第7回講義内容
"Of Superstition and Enthusiasm"を読む

第8回講義内容
"Of the Dignity or Meanness of Human Nature"を読む

第9回講義内容
"Of Civil Liberty"を読む

第10回講義内容
"Of Simplicity and Refinement in Writing"を読む

第11回講義内容
"Of Commerce"を読む(1)

第12回講義内容
"Of Commerce"を読む(2)

その他の学習内容
  ・課外授業

成績評価方法

毎回のディスカッションでの積極的な発言や問題提起、および担当したレジュメの出来によって判断します。最終回には簡単な論述試験を課す可能性があります。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

Essays Moral, Political, Literary/David Hume Liberty Fund 1994 [1777]

プリントを適宜配布する

受講上の要望、または受講上の前提条件

授業外学習として、毎回最低90分以上の十分な予習時間を確保できることを前提とします。人によっては90分ではまったく足りないということも大いにありえます。じっくりと腰を据えてテクストに向き合おうという姿勢が大事になってきます。

※ オンライン授業に変更となったため、当初想定していた輪読方法はやや困難かと思われます。同時配信形式での講読と、オンデマンド録画授業を組み合わせて実施することを検討しています。詳細は初回に説明します。