慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
財政論
担当教員名
島村 玲雄
科目設置 法学部専門教育科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 甲類・乙類 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 経済学部専門教育科目:財政論
設置年度 2020 授業コード 62021
開講期間 II期 8/18~8/23 曜日・時間等 1~2限 9:00~12:45

授業科目の内容

 今日の先進国はグローバル経済の下で国際競争に身を置きながら、貧困や経済格差、少子高齢化、財政赤字といった財政が取り組むべき、多くの課題を抱えており、さらに2020以降はコロナによる影響が社会に大きな変化を強制している。近年の日本においては、複数税率となった消費税の増税や幼児教育・保育の無償化、ふるさと納税制度の定着など、様々な制度改革が行われてきたが、それらは従来の政治思想上の左派・右派、保守・革新の枠組みでは捉えきれない。こうした制度改正・政策は正しい政策なのか、なぜ必要になっているのだろうか。財政学ではこうした変化から社会の変化を読み解いていきます。「財政」とは一体何であり、どのような役割を担っているのだろうか? 正しい望まれる税制とはどういう税制か、どういう社会保障が望まれているのか、その財源は確保すべきなのか? 「東京一極集中」はなぜ起きているのか、地方はどのような課題を抱え、そうすべきなのか?財政再建は本当に必要なのか、現金一律給付の有効性やベーシックインカムで問題は解決するのか?本講義は財政に関する論点を「制度」と「歴史」の視点から考察すると同時に、財政からみた現代社会への理解を深めることを目的としています。

第1回講義内容
  イントロダクション:財政とは何か

第2回講義内容
  現代財政の国際比較

第3回講義内容
  租税理論と原則

第4回講義内容
  現代税制の課題

第5回講義内容
  社会保障財源調達

第6回講義内容
  社会保障各論

第7回講義内容
  政府間財政関係

第8回講義内容
  地域経済と地方財政

第9回講義内容
  予算と財政政策

第10回講義内容
  公債と財政赤字

第11回講義内容
  財政システムの大転換

第12回講義内容
  総括

その他の学習内容
  ・小テスト
  ・ 今期は遠隔授業で行うため、適宜授業内で理解度を測るため、コメントペーパーを小テストとしての実施を検討しております。新聞や経済雑誌、参考文献を含む財政に関する書籍を読み、疑問点や論点を自分なりに持って調べるようにしてください。コロナ禍で大変かと思いますが、電子ジャーナル等を有意義に利用することをお勧めします。

成績評価方法

 成績評価は、遠隔授業に変更となったため、kcc-trackを利用した小テストおよびレポートを予定しております。kcc-trackの使用については慣れない部分もあるかと思いますので、受講者に不利益にならないように致します。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

現代財政を学ぶ/池上岳彦編 有斐閣 2015

プリントを適宜配布する
 パワーポイントのスライドを印刷したものを授業前に配布して、それに基づいて講義を進めていきます。テキストは事前・事後学習用に指定しておりますので、事前学習で事前学習し、講義内で説明しきれなかったところを事後学習に使用してください。

参考文献

『財政学 ―制度と組織を学ぶ―』/佐々木伯朗 有斐閣 2019
『日本財政 転換の指針』/井手英策 岩波書店 2013
『幸福の増税論』/井手英策 岩波書店 2018
『租税抵抗の財政学 信頼と合意に基づく社会へ』/佐藤滋、古市将人 岩波書店 2014
/など

受講上の要望、または受講上の前提条件

 今期は遠隔授業で行うため、進捗状況については授業計画より前後することがございますが、ご了承ください。時間の関係上用語の解説は極力抑えるので、授業前にテキストの該当箇所を事前に読んでおき、授業後も財務省や総務省HP等も参考にしつつ調べるようにしてください。さらに受講するまでに、税や社会保障、地方財政など各論に関する書籍(参考文献など)を読んで、疑問や知識、論点を持った状態で受講されると、より全体像が理解できると思います。もちろん近年の多岐にわたる議論を網羅することはできませんので、毎回授業で配るコメントペーパーで質問していただければと思います。