慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
政治理論
担当教員名
河野 武司
科目設置 経済学部専門教育科目 授業形態 春期週末スクーリング
科目種別・類 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 法学部専門教育科目:政治理論
設置年度 2020 授業コード 72018
開講期間 2020年6月13日~6月28日 曜日・時間等 第1週6/13・14、第2週6/20・21、第3週6/27・28、土曜日13:30~17:15、日曜日9:00~12:45

授業科目の内容

本講義の目的は、現代政治学が政治現象を理解するために、理論という道具をどのように活用してきたかを概観し、問題設定と分析を行うプロセスを理解することにあります。講義の前半では、規範や理想について対象とする規範的政治理論との対比を通して、現実を分析の対象とする科学としての政治学における理論(実証的政治理論)のあり方を解説します。後半では市民の政治参加や代議制民主主義の作動に関する主要な概念と理論について、最近の研究や具体的な事例を踏まえながら考察します。具体的には、以下のような計画に沿って進ます。なお、以下の講義計画は暫定的なものであり、順序や内容について若干の変更がある場合もあります。

【重要】
以下は、コロナウイルスの感染拡大の影響で教室での対面授業ができなくなったため、この授業をどのように進めるかについて書きました。
なお、状況は刻々と変化しており、それに応じて授業の内容や評価の方法、進め方なども変更になる場合もあることを予め承知しておいてください。

「この授業は、テレビ会議システムであるWebexを用いたリアルタイムのオンラインでの授業とします。」
授業の進め方等に関する詳細については、利用可能ならばKcc-Trackの「お知らせ」の機能やGoogle Classroomなどを用いて、改めてお知らせします。
また履修を希望する方は、下記のアドレス宛にメールで私に問い合わせていただいても構いません。
tkohno58@yahoo.co.jp

通信容量の上限や通信速度に制限がかかるといった通信環境に余裕のない学生の方にはまことに申し訳なく思いますが、この授業は対面での講義が可能となると思われる秋学期にも開講されますので、そちらの方を履修することを奨めます。
講義の実施方法の変更に伴い、講義内容だけでなく、試験ならびに成績評価の方法も変更せざるを得ませんが、それは最初の授業で説明いたします。
まずはWebexやClassroomの使い方を授業開始前に習得しておくようにしてください。
WebexはLineのようなもので、使用するにあたっては、決してハードルの高いものではありません。
自宅にいながら、対面の授業が受けられるといったように気楽に考えてください。

第1回講義内容
伝統的政治学から現代政治学へ転換 科学としての政治学の追究の歴史

第2回講義内容
科学としての政治学と理論の役割 規範的政治理論(理想)と実証的政治理論(現実)の相互補完性

第3回講義内容
科学的な研究の手順と信頼性・妥当性 リサーチプロセスの循環的な8段階 ①問題意識、②既存研究の確認、③仮説構築、④仮説中の概念の操作化、⑤研究のデザイン、⑥データの収集、⑦分析、⑧理論化

第4回講義内容
政治理論と合理的選択アプローチ 現代の政治学において一つのパラダイムとなった合理的選択アプローチとは何か→利己心と最大化行動、利他主義

第5回講義内容
市民の投票参加をどのように説明するか 期待効用モデル(投票参加の計算式)とミニマックスリグレットモデル

第6回講義内容
市民の投票方向の決定をどのように説明するのか① コロンビア学派(社会学的分析)

第7回講義内容
市民の投票方向の決定をどのように説明するのか② ミシガン学派(心理学的分析)と合理的選択

第8回講義内容
利益団体の政治的影響力をどのように説明するのか① 利益団体自由主義、コーポラティズム、利益の組織化と副産物理論

第9回講義内容
利益団体の政治的影響力をどのように説明するのか② 政治的企業家と政治的交換関係

第10回講義内容
代議制民主主義は失敗するという神話の検討① A.ダウンズの命題、「経済学的にいえば、民主主義国家における政府の政策にはほとんどつねに、反消費者、生産者支持の偏向がみられる」の検討

第11回講義内容
代議制民主主義は失敗するという神話の理論的検討② D.ウィットマンによるダウンズに対する批判 →政治過程に参加する各アクターが合理的だからこそ機能する A.カプランによるウィットマンに対する批判 →市民は合理的な非合理性を有するから代議制民主主義は失敗する

第12回講義内容
総括

その他の学習内容
  ・小テスト

成績評価方法

最終日の試験(持込可、自宅で制限時間以内に回答し提出)と1回程度授業時間中に実施する予定の小テスト、ならびに授業中の私の問いかけに対する回答や学生諸君からの質問などの普段の授業に対する貢献を総合して評価します。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

授業に必要なレジュメや資料は電子ファイル化し、Kcc-Track、ないしはGoogle Classroomなどを利用して、配布する予定です。

参考文献

授業中に適宜紹介します。

受講上の要望、または受講上の前提条件

板書のみならず私の講義内容を要領よくまとめたノートを作成し、それを自分自身の教科書としてください。
【重要】
また上記の「授業の概要」のところでも書きましたが、この授業はテレビ会議システムであるWebexを用いたリアルタイムのオンライン授業とします。
そこで履修の前提として、「通信容量に上限や速度に制限のない十分な通信環境が整っている必要」があります。
この前提を充たすことのできない学生諸君には、まことに申し訳なく思いますが、この科目は教室での対面での授業が予定されている秋学期にも週末スクーリングとして開講されますので、それを受講するようにしてください。