慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
日本政治史
担当教員名
小田 義幸
科目設置 経済学部専門教育科目 授業形態 夜間スクーリング
科目種別・類 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 法学部専門教育科目:日本政治史
設置年度 2020 授業コード 72038
開講期間 10月6日(火)~12月22日(火) 曜日・時間等 火曜日、18:20~20:05

授業科目の内容

 「歴史は過去のことだから」と言って歴史を敬遠するかもしれませんが、過去を学ぶことは現在・将来を生きるためには欠かせません。歴史認識をめぐる問題や過去の歴史に起因する問題が国内外で大きく取り上げられており、テレビや新聞などで日本の近現代史に接する機会も多くなっています。その一方で、学校などで日本の近現代史を学ぶ機会が少ないため、先述の問題が現在の日本にとっていかに重要であるかが認識できず、自分自身の意見を持つことさえもままなりません。本講義では、近現代の日本政治外交史上、その後の日本の運命を左右する、もしくは、現在に至るまで影響が及ぶ重要な論点を取り上げ、今の価値観や見方にとらわれずに歴史を見つめ直し、歴史に関する知識を得るだけでなく、歴史の見方や歴史を学ぶ意味についても身につけてもらうつもりです。

第1回講義内容
日本近現代史の見方について考える 明治維新はなぜ成功したのか?

第2回講義内容
戦前、憲法上明文化されていない元老が政治を仕切ることになったのはなぜか?

第3回講義内容
日露戦争をめぐる政府とメディア―メディアは政府よりもはるかに好戦的だった!

第4回講義内容
日韓併合は合法or違法? 日本統治下における朝鮮半島の実態とはどのようなものだったのか?

第5回講義内容
明治憲法体制の下でなぜ政党政治が実現したのか?

第6回講義内容
軍人によるテロ・クーデターが1930年代前半に相次いだのはなぜか?

第7回講義内容
戦争とメディア―メディアは言論弾圧の被害者なのか?

第8回講義内容
昭和戦前期の日本が対中国政策で失敗を犯したのはなぜか? なぜ、中国と戦っていた日本がアメリカ・イギリスとの戦争を招いたのか?

第9回講義内容
戦時日本は「ファシズム国家」、東条英機は「独裁者」なのか?―東条英機内閣の政権運営を事例として

第10回講義内容
なぜ、自由民主党は38年間にもわたって政権政党であり続けることができたのか?

第11回講義内容
戦後日本のメディアが「第四の権力」として君臨し続けることができたのはなぜか? 戦後日本政治はメディアとどう向きあったのか?

第12回講義内容
総括・試験

その他の学習内容
  ・課題・レポート

成績評価方法

リフレクションペーパーの作成など(50%)+4000字程度のレポート(50%)

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

KccTrackを通じて、動画のURL(URLにアクセスしてパスワードを入力すると授業の動画が再生されます)、レジュメのPDFファイルを配信します。なお、第7回授業では資料のPDFファイルのみをアップする予定です(詳細は授業当日に説明します)。

参考文献

・鳥海靖『もういちど読む山川日本近代史』(山川出版社、2013年)
・北岡伸一『日本政治史 外交と権力 増補版』(有斐閣、2017年)
・門松秀樹『明治維新と幕臣 新政府を底辺で支えた「ノンキャリア」たち』(中央公論新社、2014年)
・五百旗頭真編『日米関係史』(有斐閣、2008年)
・北岡伸一『日本の近代5 政党から軍部へ 1924~1941』(中央公論新社、2013年)
・佐々木隆『シリーズ日本の近代 メディアと権力』(中央公論新社、2013年)
・戸部良一『シリーズ日本の近代 逆説の軍隊』(中央公論新社、2012年)
・佐々木隆『日本の歴史21 明治人の力量』(講談社、2010年)
・伊藤之雄『日本の歴史22 政党政治と天皇』(講談社、2010年)
・有馬学『日本の歴史23 帝国の昭和』(講談社、2010年)
・河野康子『日本の歴史24 戦後と高度成長の終焉』(講談社、2010年)
・古川隆久『昭和史』(筑摩書房、2016年)
・中村隆英『昭和史(上)1926-45』(東洋経済新報社、2012年)
・中村隆英『昭和史(下)1945-89』(東洋経済新報社、2012年)
※その他の文献については授業中に適宜紹介します。

受講上の要望、または受講上の前提条件

 初学者でも受講可能ですが、歴史から遠ざかっている受講者には、参考文献にある『もういちど読む山川日本近代史』や『昭和史』を予め一読することをお勧めします。