慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
政治過程論
担当教員名
池田 豊彦
科目設置 経済学部専門教育科目 授業形態 夜間スクーリング
科目種別・類 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 法学部専門教育科目:政治過程論
設置年度 2020 授業コード 72035
開講期間 10月2日(金)~12月25日(金) 曜日・時間等 金曜日、18:20~20:05

授業科目の内容

 明治以降の中央集権制度が疲弊して社会環境の変化に対応できなくなり、住民に身近な政治・行政制度への移行を求める観点から地方分権改革が進展してきた。地方自治・地方分権を切り口に、制度論から自治体改革をめぐる実態を含めて検証し、現代日本の政治過程を考察する。各回の講義概要は以下のとおり。
第1回講義内容
イントロダクション―社会病理現象と自治体の役割の拡大
第2回講義内容
戦後の地方自治制度と分権型社会
第3回講義内容
地方財政の構造と課題
第4回講義内容
揺れる地方行政体制
第5回講義内容
道州制と大都市制度改革
第6回講義内容
市町村は消滅するのか—「極点社会」の到来
第7回講義内容
首長の権能と地方の時代
第8回講義内容
地方議会の権能とその改革
第9回講義内容
ローカル・マニフェストとガバナンス
第10回講義内容
「新しい公共」と市民の台頭
第11回講義内容
直接民主主義の可能性
第12回講義内容
総括

参考書Reference Books
・西尾勝『未完の分権改革』(岩波書店、1999年) ・片山善博『日本を診る』(岩波書店、2010年) ・松本英昭『自治制度の証言』(ぎょうせい、2011年) ・江藤俊昭『自治体議会学』(ぎょうせい、2012年) ・神野直彦・金子勝編著『地方に税源を』(東洋経済新報社、1998年)など、地方自治・地方分権に関するもの。 ・増田寛也編著『地方消滅』(中公新書、2014年)/ 年
受講上の要望、または受講上の前提条件
特になし。

第1回講義内容
イントロダクションとして、近年生起している社会病理や社会的困難の状況を取り上げ、地方自治体の役割増大と地方分権の概要について紹介する。

第2回講義内容
戦後の経済成長と地方自治史を概観するとともに、日本国憲法に位置付けられた地方自治の規定を理解する。

第3回講義内容
地方自治制度を支える財政の基本を理解しつつ、新たな自治体資金調達の手法とその課題等について取り上げる。

第4回講義内容
明治以降の国・地方を通じた行政体制が揺らぎつつあることを市町村合併を素材に読み解いていき、自治・分権の観点から今後の行政制度を考えていく。

第5回講義内容
現在の都道府県制や大都市制度も道州制導入の検討や大阪都構想の提唱によって変化しつつあることを理解し、今後の枠組みの変化の可能性を見ていく。

第6回講義内容
「極点社会」と表現される地方の人口減少と大都市への一極集中は日本社会に大きな変化をもたらしており、国・地方を挙げた「地方創生」施策が進んでいる。その動きから地方自治の今後を考えていく。

第7回講義内容
2000年地方分権改革以降の地方の動きを紹介するとともに、分権化を主導してきた首長の権能と役割や自治体改革の動きを見ていく。

第8回講義内容
首長とともに地方政治の二元代表制を構成する地方議会についてその権能と役割を確認するとともに、各地で進む議会改革についても触れていく。

第9回講義内容
検証が困難な選挙公約から、数値的・工程的点検が容易なマニフェストが地方政治に導入されて久しい。その効果と実態について検証する。

第10回講義内容
NPO等市民活動に取り組む新たな層の台頭はこれまでの公共政策のありようを変え、地方自治に関わる市民参加の姿に変化をもたらしている。「新しい公共」とは何かを通じて時代の変容を読み解いていく。

第11回講義内容
インターネット等情報通信手段の飛躍的発展は、現在の地方自治制度に規定された直接民主主義手法と相俟って政治と市民の関係に変化をもたらしており、その可能性とリスクについて考えていく。

第12回講義内容
試験および総括

その他の学習内容
  ・課題・レポート
  ・講義内容に関連して簡単な意見提出を求めることがある。

成績評価方法

最終日の試験を基本に、講義出席率を勘案する。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する

受講上の要望、または受講上の前提条件

特になし。

講師の実務経験※実務家としての経験があり、その知見が授業に反映されている場合に、「あり」と表示されます

あり