慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
刑法
担当教員名
薮中 悠
科目設置 経済学部専門教育科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 単位 2
キャンパス 日吉 共通開講学部 法学部専門教育科目:刑法
設置年度 2020 授業コード 72007
開講期間 I期 8/11~8/16 曜日・時間等 1~2限 9:00~12:45

授業科目の内容

 本年度の夏期スクーリングでは、刑法総論の講義を行います。
 刑法(明治40年法律第45号)には、殺人罪や窃盗罪、放火罪などのいろいろな犯罪が規定されています。「刑法総論」は、それらに共通する犯罪の一般的な成立要件(因果関係や故意、正当防衛、共犯といった各犯罪に共通して問題となる内容)を明らかにすることを目的とした学問分野です(これに対して、「刑法各論」は、個々の犯罪の成立要件を1つ1つ明らかにすることを目的とします)。
 本講義では、刑法総論の基本的内容や主要な争点を取り上げ、当該争点に関する判例や学説の議論状況を理解することを目指します。
 また、適宜、刑法の学習(レポートの作成を含む)に取り組む際に必要な情報の収集の仕方や利用方法についても言及する予定です。

※追記(6/14)
 2020年度の夏期スクーリングが「オンライン授業」に変更になったことを受け、本講義の実施形態やスケジュール、成績評価方法等について記述内容を修正しました。
(主な変更点)
 ①対面授業を実施予定だった日時に「リアルタイム講義」を配信します(WebexまたはZoomを使用予定。詳細は後日お知らせします)。
 ②「中間試験」(2回)および「期末試験」(1回)を実施します(実施予定日は下記の各回の講義内容を参照してください)。
 ③「リアクションペーパー」を数回(3回程度)実施予定です。

第1回講義内容
 イントロダクション  故意作為単独犯の成立要件‐殺人罪を中心に

第2回講義内容
 因果関係①‐事実的因果関係  因果関係②‐法的因果関係

第3回講義内容
 故意と錯誤①‐故意の意義と種類  故意と錯誤②‐具体的事実の錯誤

第4回講義内容
 故意と錯誤③‐抽象的事実の錯誤  小括①(中間試験①を含む)

第5回講義内容
 未遂犯①‐総説、実行の着手  未遂犯②‐不能犯、中止犯

第6回講義内容
 正犯と共犯①‐総説、間接正犯  正犯と共犯②‐共犯の処罰根拠

第7回講義内容
 正犯と共犯③‐共同正犯の成立要件  違法性総説

第8回講義内容
 被害者の同意  小括②(中間試験②を含む)

第9回講義内容
 正当防衛①‐正当防衛の前提状況  正当防衛②‐防衛の意思と防衛行為の相当性

第10回講義内容
 責任①‐主に責任能力  責任②‐その他の責任要素

第11回講義内容
 罪数論と刑罰論  刑法の基本原則

第12回講義内容
 総括(期末試験を含む)・講評

その他の学習内容
  ・ 講義内で適宜、今回扱うテーマについて(より深く)学習するために有益なウェブサイト、動画、書籍・映画、参考文献などを指示する。

成績評価方法

 中間試験(2回)と期末試験(1回)の結果により評価する。
 ただし、「平常点」(講義への参加態度、発言の有無・内容、リアクションペーパーの提出の有無・内容など)も考慮する。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

『入門刑法学・総論〔第2版〕』/井田良 有斐閣 2018
『刑法総論判例50!』/十河太郎=豊田兼彦=松尾誠紀=森永真綱 有斐閣 2016

参考文献

『講義刑法学・総論〔第2版〕』/井田良 有斐閣 2018
『刑法〔第3版〕』/山口厚 有斐閣 2015
『刑法判例百選I 総論〔第7版〕』/山口厚=佐伯仁志(編) 有斐閣 2014
『刑法総論判例インデックス』/井田良=城下裕二(編) 商事法務 2011
『よくわかる刑法〔第3版〕』/井田良=佐藤拓磨(編著) ミネルヴァ書房 2018

受講上の要望、または受講上の前提条件

 講義には「レジュメ」と、「テキスト」として指定した「教科書」・「判例教材」のほか、「六法」を参照できる状態で臨んでください。
 予習の便宜のため、開講前に、講義で使用するレジュメを配布します。レジュメには、より詳しいスケジュール(各回で取り上げるテーマの詳細、教科書の該当箇所、判例教材に掲載の判例のうち講義で取り上げるものなどを示したもの)を掲載します。

 開講前に予習として、少なくとも、次の箇所を一読しておいてください。講義は予習を前提に進行します。
 ・指定教科書(井田良『入門刑法学・総論〔第2版〕』)の第7講から第11講、または、山口厚『刑法入門(岩波新書)』(岩波書店、2008年)の第3章と第4章
 ・指定判例教材(十河太朗ほか『刑法総論判例50!』)の03事件、04事件、05事件、12事件、14事件、16事件、17事件、24事件、34事件、35事件、36事件、39事件、40事件、41事件、42事件の各事件の「事案をみてみよう」