科目名 | |||
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政治思想論 | |||
担当教員名 | |||
田上 雅徳 | |||
科目設置 | 経済学部専門教育科目 | 授業形態 | 夏期スクーリング |
科目種別・類 | 単位 | 2 | |
キャンパス | 三田 | 共通開講学部 | 法学部専門教育科目:政治思想論 |
設置年度 | 2020 | 授業コード | 72027 |
開講期間 | II期 8/18~8/23 | 曜日・時間等 | 3~4限 14:15~18:00 |
宗教を無視しては説明がつきにくい政治の現象が、今世紀になっても依然として目に付きます。西アジアの動向はいうまでもなく、アメリカ大統領選挙でも宗教勢力がどの候補者を支持するのか否かが今日も話題になります。世界を正しく知るためにも、私たちには政教関係の理解が不可欠のようです。
そこで授業では、欧米で強い影響力を有するキリスト教に焦点を当てますが、この宗教は通常、教会という共同体を前提にして営まれているために、国家という共同体の形成と維持に深くかかわる政治に対して、とりわけデリケートな関係の持続を余儀なくされてきました。けれどもそのことが、ヨーロッパとアメリカの地における政治と宗教それぞれに興味深いダイナミズムをもたらしてきたことも、また事実です。
こうした問題意識のもと、欧米において宗教と政治がせめぎ合ってきた歴史的経緯を、授業では物語ってみようと思います。
扱う時代は古代から現代までとなりますが、お話が平板にならないよう、それぞれ時代を代表するキーパーソンを設定するよう心がけます。アウグスティヌスやルターといったビッグネームはもとより、文字通り体を張って政治と向き合ったローマ教皇や日本では知名度の低い神学者、そして多くのアメリカ人が敬愛してやまない大衆伝道者が、ここでは紹介されることになるでしょう。
第1回講義内容
聖書は国家をどう見るのか?
第2回講義内容
エウセビオスは、政治権力者による宗教の擁護をどう評価したのか?(4c.)
第3回講義内容
アウグスティヌスは、国家の崩壊をどのように説明したのか?(5c.)
第4回講義内容
教皇グレゴリウス1世は、いかなるリーダーシップを思い描いたのか?(7c.)
第5回講義内容
カール大帝は、どのような世界を作りあげたのか?(9c.)
第6回講義内容
教皇グレゴリウス7世は、いかにして政治権力者と向き合ったのか?(11c.)
第7回講義内容
教皇ボニファティウス8世の理想は、なぜ挫折したのか?(14c.)
第8回講義内容
ルターとカルヴァンは、何を終わらせ何を始めたのか?(16c.)
第9回講義内容
敬虔なクリスチャンは、近代国家の敵か友か?(18-19c.)
第10回講義内容
全体主義は、現代ヨーロッパの神学者たちに何を考えさせたか?(20c.)
第11回講義内容
現代アメリカの福音派は、共和党の票田か?(20-21c.)
第12回講義内容
総括と試験
その他の学習内容
・期間中に1回はリアクションペーパーを提出してもらう予定です。
レポートで評価をつけます。
入門講義 キリスト教と政治/田上雅徳 慶應義塾大学出版会 2015年
プリントを適宜配布する
高校で習う西洋史の知識があると、理解が容易になるはずです。