慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
日本外交史Ⅰ
科目設置 法学部専門教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 甲類・乙類 単位 4
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2021 授業コード T0EC004201

講義要綱

第一次世界大戦では戦勝国の一員となり、1920年代にはワシントン体制下の国際協調主義を維持した日本ではあったが、1931年9月の柳条湖事件から翌年3月の満州国建国を経て、国際社会の中で孤立を深めていった。その過程を理解するとともに、その背景について変化と連続性の双方を視野に入れて考えたい。
 教科書の構成は以下のとおりである。
  第一章  日本外交の前提
  第二章  外圧と日本の対応
  第三章  幕末維新期における列強の対日政策
  第四章  明治初年の領土問題
  第五章  条約改正
  第六章  大陸問題
  第七章  日清戦争
  第八章  日露戦争
  第九章  日露戦争以後の国際情勢と日本
  第一〇章 第一次大戦と日本
  第一一章 日本のソ連承認
  第一二章 ワシントン体制と日本
  第一三章 満州事変
  第一四章 日中戦争
  第一五章 日独伊三国同盟と日ソ中立条約
  第一六章 太平洋戦争

テキストの読み方

日本の開国以降第二次世界大戦終結までの(いわゆる戦前の)日本外交に関して、日本の選択と欧米およびアジアの国際政治の現実との間の関係・相互作用に留意して、理解を深めたい。

履修上の注意

個々の具体的な事実や出来事から一定の普遍的な意味付けを読みとくのが学問的アプローチである。日本の主観を投影させることには禁欲的に、国際政治の全体像の中に日本を相対化する視点を持ちたい。

成績評価方法

科目試験による。

参考文献

入江昭『日本の外交─明治維新から現代まで』中公新書、1966年
加藤陽子『それでも日本人は「戦争」を選んだ』新潮文庫、2016年

レポート作成上の注意

レポート課題に対するいわゆる「正解」は存在しない。また、単なる事実関係の羅列に終わらないように留意したい。分析視角(事実関係に一定の意義付けを与える一貫した視点)に一定のセンスや論理性があり、全体の考察に分析的なまとまりがあることが重要である。
 「はじめに」で、課題に対してどのような視点(切り口、分析視角)から考察するのかを述べ、本論を論理的に章立てし、「おわりに」で当初設定した分析視角に戻って結論をまとめる、という構成にすること。本論での考察では、分析視角に関連した事実関係を整理し、その視点から抜け落ちるものがあってもよい(というより、一貫したまとまりのあるレポートにはその方がよい)。
 また、文献を参照したところは、正確に注を記すこと。