慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
天文学
担当教員名
茂山 俊和
科目設置 総合教育科目 授業形態 夜間スクーリング
科目種別・類 3分野科目/自然科学分野 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2021 授業コード 12149
開講期間 10月6日(水)〜12月22日(水) 曜日・時間等 水曜日、18:20~20:05

実施形態

オンライン授業(リアルタイム形式)

授業科目の内容

私たちが夜空を見上げると星が見え、宇宙を感じることができます。しかし、肉眼で見えるものはほんの限られたものだけです。望遠鏡の発明後、それを使って夜空を見ることを400年余り続けた結果、現代の私たちが持っている宇宙に関する知識は格段に増えました。ただ、望遠鏡で見るだけでは理解することができない現象もたくさんありました。そういった事柄も物理学という非常に適応範囲の広い理論によって解釈することで望遠鏡で見たものが何であるかを理解することができるようになりました。この講義では、その全てをご紹介することはできませんが、私たちが知っている宇宙とまだよく分かっていない宇宙についてなるべく分かりやすく解説しようと思います。宇宙について考えることはいろいろな側面を持っています。一つには、私たちの存在がどういう起源を持つのかを考え理解することでもあります。また、宇宙のことを考えるとその時間の長さと空間の大きさに圧倒されてしまうことがあると思います。宇宙にある天体を理解するのには、実はすごく小さなスケールで起きていることを理解することが鍵になっている場合が多いことも実感していただきたいと思います。この講義を通じて、日常とかけ離れた経験で脳をリフレッシュすることにもなるはずですので、知的な刺激を大いに受けて楽しんでいただければと思います。

第1回講義内容
全体像。宇宙のスケールや、どのような天体があるのか、現代の宇宙に関する知識を概観します。

第2回講義内容
夜空に輝く星にはどういったものがあるのかを少し詳しく解説します。星には自ら光る恒星と恒星の光を反射して光る惑星があります。特に、恒星の一つである太陽はどのような天体なのかを解説します。この講義では「星」といえば恒星を指すことにします。

第3回講義内容
星といっても、様々な色や明るさを持っています。そういった違いは何を表しているのかを解説します。また、星は単独で存在するもののほか、連星系といって他の星と万有引力で引き合いながら重心の周りを公転しているものが多数存在することが知られています。連星系に特有な現象についても解説します。最後に太陽がどういった星なのか、全体像の中での立ち位置を見直します。

第4回講義内容
新星と超新星について解説します。夜空の中に突如明るい天体が現れることは紀元前から知られていて記録に残っていました。新星や客星と呼ばれていました。新星や超新星はどのような現象なのか、現代の物理学を総動員して理解が進んだ結果得られた描像を解説します。

第5回講義内容
新星と超新星について解説します。第4回の続きです。

第6回講義内容
私たちの身の回りのものは私たちの体を含め、全て元素でできています。しかし、全ての元素は宇宙に元々あったものではありません。宇宙の歴史の中で元素がどのようにできて来たのか。元素の起源について解説します。

第7回講義内容
私たちがいるのは銀河系と呼ばれるおよそ1000億個の星の集団の中です。銀河系の大きさや規模はどうなっているのか。なぜ、集団になっているのか。どうやってできたのか。私たちと同じような環境は他にも存在するのか。色々な問題について、私たちの現時点での知識を紹介します。

第8回講義内容
銀河系と同じように星が集団となっている天体を銀河と呼びます。銀河にはどのようなものがあるのか。様々な形態を持った銀河はどのように形成されたのか、その疑問に応えようとして、現代の天文学者は何をしているのか、解説します。

第9回講義内容
1995年以前は惑星系としては私たちの住む太陽系のみが知られていました。1995年に巨大な惑星がある星が見つかりました。それ以来4,000個以上の惑星が見つかっています。どのように惑星を探しているのか、その方法を解説するとともに、惑星はどのようにできるのか、その形成過程について現在考えられている説について解説します。

第10回講義内容
宇宙は膨張しています。ここでいう「膨張」とはどういう意味なのかを解説するとともに。宇宙が膨張していることで説明できる様々な現象と、膨張を遡ることで分かる宇宙の歴史について解説します。しかし、すべてが分かっているわけではありません。私たちが持っている宇宙に関する知識の限界とそれを打ち破るための試みについても解説します。

第11回講義内容
宇宙には大きさはさほど大きくないですが、非常に重い星があります。白色矮星、中性子星、ブラックホールなどがそのような星です。このような星がどのように観測されるのか、観測することで何がわかるのかを解説します。

第12回講義内容
総括

その他の学習内容
  ・課題・レポート

成績評価方法

提出された課題と試験の結果に基づいて成績を評価します。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する
講義内容のポイントをまとめたプリントを配布する。

受講上の要望、または受講上の前提条件

宇宙に興味のある方なら、理科系の知識の有無にかかわらず受講できると思います。日常生活ではほとんどお目にかからない、経験することのない現象についてのお話をしますので、思考を柔軟にして聴講していただく必要はあります。