慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
哲学
担当教員名
柏端 達也/高谷 遼平
科目設置 総合教育科目 授業形態 秋期週末スクーリング
科目種別・類 3分野科目/人文科学分野 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2021 授業コード 12102
開講期間 2021年10月16日〜10月31日 曜日・時間等 第1週10/16・17、第2週10/23・24、第3週10/30・10/31 土曜日13:30〜17:15、日曜日9:00〜12:45

実施形態

オンライン授業(オンデマンド形式)

授業科目の内容

 「ことば」は哲学にとって最重要なテーマの一つです。本講義は、「ことばの意味とはなにか」を副題とし、とりわけことばの「意味」とそれが使用される「場・文脈」との関係をめぐる現代のさまざまな議論を通して、私たちが日々無意識に用いていることばの概念の哲学的な広がりを展望し理解することをめざします。そのような言語哲学的なトピックはもちろん、認識論や言語学などの諸領域とも深く関わっています。
 柏端が担当する部分(第1、第2、第9回)では、導入的な観点から、そもそも言語とは何か、ことばの意味は何によって決まるのかといった基本的な問いの存在を確認します。また、ことばを使う、ことばを使って何かをするといった側面にまつわる問題点についても概説を行ないます。
 高谷が担当する部分(第3〜8、第10〜12回)はより専門的で発展的な内容を扱います。前半ではまず、固有名や確定記述などに関する伝統的問題を取り上げ、意味の研究がいかにその他の哲学分野と関係し、そして発展してきたのかを見ていきます。後半では、私たちが言語を使用する文脈はいかに意味に影響を及ぼすのか、そして隠喩や皮肉、嫌味などの一風変わった(しかし非常に馴染み深い)ことばについて、言語哲学のみならず言語学分野の研究も参考にしながら考えていきたいと思っています。

第1回講義内容
言語とは何か

第2回講義内容
「意味する」という関係

第3回講義内容
意味と世界

第4回講義内容
意味と真理

第5回講義内容
固有名

第6回講義内容
固有名と記述Ⅰ

第7回講義内容
固有名と記述Ⅱ

第8回講義内容
意味の文脈依存性

第9回講義内容
ことばを使うということ

第10回講義内容
「意味する」の多様性

第11回講義内容
隠喩、皮肉、嫌味

第12回講義内容
総括

その他の学習内容
  ・課題・レポート
  ・質問はオンラインで受け付けます。

成績評価方法

期間の途中に授業内容を確認する小レポートを2回課します。そして最終日にメインとなるレポート課題を出します。それらによって評価します。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

教科書の指定はありません。それぞれの回のオンデマンド授業教材(pdf形式)がテキストに相当します。

参考文献

コミュニケーションの哲学入門/柏端達也 慶應義塾大学出版会 2016
話し手の意味の心理性と公共性/三木那由他 勁草書房 2019
言語哲学――入門から中級まで/W. G. ライカン(荒磯敏文・川口由起子・鈴木生郎・峯島宏次訳) 勁草書房 2005
はじめての言語哲学/八木沢敬 岩波書店 2020

受講上の要望、または受講上の前提条件

哲学の予備知識はとくに事前には必要ありません。ただし講義ではそれなりに専門的な論点を取り上げますので、どうしても理解できなかった部分は授業後によく考え、その後質問することをお勧めします。せっかくのスクーリングですので「教員/スタッフへの質問」機能を活用しましょう。また他方で、講義に関連するテーマを、自身の興味に従って自由に考えてみるのもよいでしょう。オンデマンド授業教材はpdfの形で配布されますから、必要な箇所を何度でもすぐに読むことができます。また、たとえば上記の参考文献に目を通しておくと、理解が深まり、考えの助けになるかもしれません。哲学の思考に制限時間はありません。10分でも10時間でも予習や復習をしてください。