慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
イギリス文学
担当教員名
原田 範行
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 第3類 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2021 授業コード 52150
開講期間 II期 8/17~8/22 曜日・時間等 3~4限 14:15~18:00

実施形態

オンライン授業(オンデマンド形式)

上記の授業を実施するにあたり学生が準備しておくもの

オンデマンド授業(音声教材を含む)を視聴し学習するのに十分適切なPC等を準備してください。

授業科目の内容

 本授業では19世紀末のイギリスを駆け抜けた天才的作家Oscar Wildeのいわゆるshort stories(日本では「童話集」と訳されることもあります)を題材に、イギリス文学研究を進める上での重要事項(ナラティヴの特徴や言語表現の多義性の理解、文学表現における象徴や比喩の捉え方、文学作品と社会や宗教といった背景事情との関係、など)について学習するとともに、文学作品が喚起する読者の想像力の質や作家の創造力が発揮される磁場について考察します。併せて、ワイルド文学がイギリス文学史上において有する諸特徴(審美主義、19世紀ヴィクトリア朝文学との関係、アイルランド的特質、20世紀モダニズム文学への影響、同性愛を含む社会規範との関係、絵画や音楽など隣接する諸芸術との関係、など)も授業の中で言及します。具体的には、まず「幸福な王子」(”The Happy Prince”)および「ナイチンゲールと薔薇」("The Nightingale and the Rose”)の2篇の精読と作品分析を主に講述の形でおこない、文学研究のための基礎力を培います。その上で、上記以外の作品に対象を広げ、それらの作品について、履修者の皆さんが自律的に分析・批評できるようになることを目的とします。原作を徹底的に読み込むことを学習の基礎としますので、原作の英語文章表現と真摯に向き合い、これをを丁寧に読み解こうとする学習態度が求められます。(なお、担当教員は、高等学校および専門学校での英語および文学に関する教育実務経験を有しており、英語文章表現に関する基礎および応用力育成のための指導が、本授業に活用されます。)

第1回講義内容
序論:オスカー・ワイルドの文学の諸特徴(伝記と作品の概要、19世紀末の社会的・芸術的背景など)

第2回講義内容
The Happy Princeの精読と分析(その1:王子の像と少し変わったツバメ)

第3回講義内容
The Happy Princeの精読と分析(その2:王子とツバメの出会い)

第4回講義内容
The Happy Princeの精読と分析(その3:王子からツバメへの頼みごと)

第5回講義内容
The Happy Princeの精読と分析(その4:エジプトへの出発を延ばすツバメ)

第6回講義内容
The Happy Princeの精読と分析(その5:視力さえ失ったツバメ)

第7回講義内容
The Happy Princeの精読と分析(その6:王子とツバメの死)

第8回講義内容
The Nightingale and the Roseの精読と作品分析(その1:ナイチンゲールの願い)

第9回講義内容
The Nightingale and the Roseの精読と作品分析(その2:劇作家志望の若い学生)

第10回講義内容
The Nightingale and the Roseの精読と作品分析(その3:薔薇の完成とナイチンゲールの死)

第11回講義内容
作品分析と批評に関するディスカッション(The Selfish Giant, The Devoted Friend, The Remarkable Rocketなど)

第12回講義内容
作品分析と批評に関するディスカッション(The Young King, The Birthday of the Infanta, The Fisherman and His Soul, The Star Childなど)

その他の学習内容
  ・課題・レポート

成績評価方法

成績はS、A、B、C、Dの5段階評価で、毎回の授業課題への取り組み状況と作品分析・批評に関するレポートによって評価します。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

The Complete Short Stories/Oscar Wilde Oxford University Press 2010

参考文献

オスカー・ワイルドで学ぶ英文法/倉林秀男・原田範行 アスク出版 2020

受講上の要望、または受講上の前提条件

毎回の授業課題(予習事項および復習事項を含みます)については、翌日の授業でフィードバックをします。また、作品分析・批評の課題については、コメントを付して返却するとともに、第11回および第12回の授業におけるディスカッションにおいて検討を加えます。なお、これらを総合して、毎回の授業には、それぞれ90分程度の授業外学習時間が想定されます。

講師の実務経験※実務家としての経験があり、その知見が授業に反映されている場合に、「あり」と表示されます

あり