慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
ドイツ文学史
担当教員名
香田 芳樹
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 第3類 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2021 授業コード 52154
開講期間 I期 8/10~8/15 曜日・時間等 1~2限 9:00~12:45

実施形態

オンライン授業(リアルタイム形式)

授業科目の内容

 この授業は,中世ドイツを代表する文学作品を,従来とは違った文化史的な視点から解説していくことを目的としています。とくに中世を「脱神話化の時代」と位置づけ,作家たちが民族固有の神話的素材をどのように文学へと作りかえていったかをみていきます。またそれと平行して,現代の芸術作品(ファンタジー文学・音楽・演劇)に中世の英雄叙事詩,恋愛叙情詩,神秘思想が与えた影響についても考察します。また作品別だけではなく、「記憶」や「聖なるもの」といった文化史的なテーマを設定し、中世が現代思想にとってもアクチュアルであることを示します。できるだけ多くの原典(翻訳)に当たり,映像資料も使って,ヨーロッパ文化に今も息づく意識の古層に迫りたいと思います。
 扱う作品は、ドイツ最古の英雄叙事詩『ヒルデブラントの歌』、北欧ゲルマン神話に由来する『ニーベルンゲンの歌』、ケルト系の恋愛文学に基づくゴットフリート・フォン・シュトラースブルク『トリスタンとイゾルデ』、ヴォルフラム・フォン・エッシャンバハ『パルチヴァール』、ハルトマン・フォン・アウエ『イーヴェイン』、恋愛抒情詩『ミンネザング』、ドイツ神秘思想『エックハルト説教集』、女性神秘思想家の著作等。

第1回講義内容
・中世ドイツ文学史概説 ・中世英雄叙事詩『ヒルデブラントの歌』 ・インド・ヨーロッパ語族とは何か

第2回講義内容
・タキトゥス『ゲルマニア』とゲルマン民族の大移動 ・3つの印欧語族神話

第3回講義内容
・『オイディプス王』と父殺しの神話

第4回講義内容
・『ニーベルンゲンの歌』 ・北欧ゲルマン族とアイスランド・サガ

第5回講義内容
・フリッツ・ラングの映画『ニーベルンゲン』 ・ワーグナーの楽劇『神々の黄昏』

第6回講義内容
・ミンネザング(恋愛叙情詩) ・婦人奉仕の精神と騎士道

第7回講義内容
・ケルト神話 ・ゴットフリート・フォン・シュトラースブルク『トリスタンとイゾルデ』

第8回講義内容
・ワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルデ』

第9回講義内容
・ドイツのアーサー王物語 ・『イーヴェイン』

第10回講義内容
・『パルチヴァール』 ・ワーグナーの楽劇『パルジファル』

第11回講義内容
・中世ドイツ神秘思想 ・マイスター・エックハルト、メヒティルト・フォン・マクデブルク、ヒルデガルト・フォン・ビンゲン

第12回講義内容
・異端と大学 ・ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』

その他の学習内容
  ・課題・レポート

成績評価方法

課題のレポートと出席(2/3以上)をもとに総合的に評価します。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する

参考文献

はじめて学ぶドイツ文学史/柴田翔 ミネルヴァ書房 2003

受講上の要望、または受講上の前提条件

ドイツ語や、中世ドイツ語の知識は必要ありません。授業で使用する指定された文学作品はできるだけ、読んでおくようお願いいたします。