慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
フランス文学
担当教員名
西野 絢子
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 第3類 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2021 授業コード 52155
開講期間 I期 8/10~8/15 曜日・時間等 1~2限 9:00~12:45

実施形態

オンライン授業(オンデマンド形式)

上記の授業を実施するにあたり学生が準備しておくもの

特になし

授業科目の内容

ポール・クローデルと日本演劇
「劇、それは何事かの到来であり、能、それは何者かの到来である。」20世紀フランスの最大の劇詩人クローデルは、大使として大正期の日本に滞在し、その文化に深く親しみ、特に伝統演劇に魅了され、能について上のような名言を残しました。日本の仮面劇・能の本質を見抜いた詩人の鋭い霊感を反映する発言です。異国のカトリック詩人は、どのようにして、仏教の雰囲気が漂う日本の古典的舞台芸術を理解したのでしょうか。能だけではなく、歌舞伎、文楽にも興味を示した彼は、独創的な日本文化論『朝日の中の黒い鳥』にその印象を記しています。講義では、クローデルが日本演劇をどのように解釈し、なぜそのような解釈に至ったかを考察しつつ、また彼がどのようにして日本演劇を自分の創作活動に活かしたのかという問いについて、能の影響を中心に解明していきます。
 まず、来日前のクローデルの作品、次に日本演劇に関する記述、そして日本演劇の観客となった体験後に書かれた作品を分析していきます。西洋人による日本演劇の発見という歴史的コンテクストに位置付けることも試みますので、広い視点から演劇の普遍性について考察することも可能です。フランス文学だけでなく、日本の文化や演劇、そして日仏文化交流に関心のある方も、是非一緒に取り組んでいきましょう。

第1回講義内容
イントロダクション クローデルの生涯と作品について

第2回講義内容
来日前のクローデルの作品 『真昼に分かつ』など

第3回講義内容
クローデルと日本文化

第4回講義内容
クローデルと日本演劇1 歌舞伎・文楽

第5回講義内容
クローデルと日本演劇2 能①『道成寺』『翁』

第6回講義内容
クローデルと日本演劇3 能②『羽衣』『景清』『隅田川』

第7回講義内容
クローデルと日本演劇4 能③ エッセイ「能」『朝日の中の黒い鳥』所収

第8回講義内容
日本滞在中のクローデル作品①『女と影』等

第9回講義内容
日本滞在中のクローデル作品②『繻子の靴』等

第10回講義内容
離日後のクローデル作品①『クリストファ・コロンブスの書物』

第11回講義内容
離日後のクローデル作品②『火刑台上のジャンヌ・ダルク』等

第12回講義内容
総括・補足説明

その他の学習内容
  ・課題・レポート

成績評価方法

レポート

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する

参考文献

プリントを適宜配布する
クローデルの作品(翻訳)
『朝日の中の黒い鳥』(内藤高 訳)講談社学術文庫 講談社 1988年
『真昼に分かつ』(鈴木力衛・渡邊守章 訳)筑摩世界文学大系第56巻『クローデル・ヴァレリー』筑摩書房 1976年
『繻子の靴』上・下 (渡邊守章 訳)岩波文庫 2005年
『クリストファ・コロンブスの書物』(鈴木力衛・山本功 訳)筑摩世界文学大系第56巻『クローデル・ヴァレリー』筑摩書房 1976年
『火刑台上のジャンヌ・ダルク』(安藤信也・矢代秋雄 訳)『今日のフランス演劇』第4巻、白水社 1967年
クローデルの作品(フランス語)
Paul Claudel, Œuvres en prose, Paris, Gallimard, 1965
Paul Claudel, Théâtre, tome I et II, Paris, Gallimard, 2011.
研究書(フランス語)
Moriaki Watanabe, « Claudel et le nô » in Etudes de Langues et Littérature françaises, n 6, Tokyo, Hakusuisha, 1965, p. 61-77.
Ayako Nishino, Paul Claudel, le nô et la synthèse des arts, Paris, Classiques Garnier, 2013.
能楽関係
西野 春雄 ・ 羽田 昶 (編集)『新版 能・狂言事典 』平凡社 2011年
西野 春雄 (編集)『謡曲百番』 (新日本古典文学大系 57) 岩波書店 2017年

受講上の要望、または受講上の前提条件

授業計画は目安になります。必要に応じてフランス語の原文を扱うこともあります。