慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
日本史特殊
担当教員名
玉木 寛輝
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 夜間スクーリング
科目種別・類 第2類 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 法学部専門教育科目:日本政治史
設置年度 2021 授業コード 72138
開講期間 10月5日(火)〜12月28日(火) 曜日・時間等 火曜日、18:20~20:05

実施形態

オンライン授業(オンデマンド形式)

授業科目の内容

本授業では昭和史を中心にしつつ、明治時代から戦後までの日本近現代史を通史的に見ていきます。我々の生きる現在の政治や人々の思考回路は、とりわけ第二次世界大戦という未曽有の戦争を経験したために、近現代史に多く規定されているところがあります。それゆえ近現代史はしばしばメディアなどでも取りあげられますが、巷間に流布している歴史の議論はややもすれば単純化されて提示されがちです。そこで本授業では、単純な歴史像ではとらえきれない日本の近現代史の内奥を、当時の史料を用い、あるいは回によっては他国との比較を行いつつ提示していくことを目指します。歴史とは複雑なものですが、その複雑な当時の時代の「空気」を感じて頂ければ幸いです。もっとも、必ずしも日本政治史に関する細かい知識は必要ありません。むしろマクロな視点から見ることによって、日本が歩んできた時代の感覚をつかむことができるでしょう。日本近現代史初学者の方もお気軽にご受講下さい。

第1回講義内容
大日本帝国憲法は近代日本にいかなる政治体制をもたらしたのか ――帝国憲法の制定から政党政治の時代へ――

第2回講義内容
国際協調の1920年代から満州事変へ ――国際連盟からの脱退は孤立への道か?――

第3回講義内容
1930年代クーデターと暗殺の時代と陸軍 ――陸軍はなぜクーデターや暗殺に走ったのか、その思想を解剖する――

第4回講義内容
1930年代における政治運営の国際比較 ――日本・ドイツ・米国の政治を比較する――

第5回講義内容
日中戦争への突入と日独伊三国同盟への道 ――なぜ日中の衝突は英米との対立と独伊との同盟を招いたのか――

第6回講義内容
太平洋戦争への道 ――なぜ米国との戦争に突入したのか?そもそも太平洋戦争は米国との戦争なのか?――

第7回講義内容
太平洋戦争における日本と連合国の思惑のジレンマ ――なぜ太平洋戦争は4年にもわたる戦争となったのか――

第8回講義内容
日中戦争・太平洋戦争はいかなる影響を国内に及ぼしたか? ――戦争がもたらすのは「負」の側面のみか――

第9回講義内容
東京裁判とニュルンベルク裁判 ――戦後の正統性をめぐる政治の延長?――

第10回講義内容
GHQ占領下の日本 ――米国による日本統治をどのように考えればよいだろうか――

第11回講義内容
近現代日本と「軍」の関係をいかに考えるか ――現代に通じる政治と軍事の関係――

第12回講義内容
歴史の考え方・見方について

その他の学習内容
  ・課題・レポート
  ・小テスト

成績評価方法

授業確認小テスト(50%)+期末レポート(50%)
詳細は追ってご連絡致します

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する
特定のテキストは用いません。毎回レジュメをアップします。授業内ではその時代の「空気」を理解するためにしばしば当時の一次史料(当時の文書)も適宜用います。その他、理解を深めるのに有用と思われる文献があればこちらでアップします。

参考文献

・瀧井一博『文明史のなかの明治憲法』(講談社、2013年)
・佐々木隆『日本の歴史21 明治人の力量』(講談社、2010年)
・北岡伸一『日本の近代5 政党から軍部へ 1924~1941』(中央公論新社、2013年)
・有馬学『日本の歴史23 帝国の昭和』(講談社、2010年)
・北岡伸一『日本政治史 外交と権力 増補版』(有斐閣、2017年)
・筒井清忠編『昭和史講義 最新研究で見る戦争への道』(筑摩書房、2015)
・筒井清忠編『昭和史講義2 最新研究で見る戦争への道』(筑摩書房、2015年)
・竹山道雄『昭和の精神史』(講談社、1985年)

受講上の要望、または受講上の前提条件

日本近現代史の初学者の方も歓迎いたします。細部に入り込んだ授業ではなく、マクロな視点から日本近現代史を考えられるようになる授業を心掛けます。お気軽にご受講下さい。