慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
哲学(専門)
担当教員名
髙取 正大/木下 頌子
科目設置 経済学部専門教育科目 授業形態 夜間スクーリング
科目種別・類 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 文学部専門教育科目:哲学(専門)
設置年度 2021 授業コード 52102
開講期間 10月7日(木)〜1月6日(木) 曜日・時間等 木曜日、18:20~20:05

実施形態

オンライン授業(オンデマンド形式)

授業科目の内容

【現代の形而上学ー基本と応用ー】
形而上学は、世界(実在)の根本的もしくは基本的なあり方を探究する学問であり、伝統的に哲学の主要な分野の一つとして位置づけられる。本講義ではこの形而上学の現代的な展開として、こんにちの英語圏で主流となっている、分析哲学の手法を用いた形而上学(分析形而上学)を取り上げ、その主要なトピックのいくつかを学ぶことを目標とする。
前半の高取のパートでは基本編として、形而上学の中でより伝統的に考察の対象となってきた話題を扱う。具体的には、ひとや物体といった中間サイズの対象の本性(第二回〜三回)、個物と普遍(第三回〜四回)、様相(可能性と必然性)(第五回)、原因と結果(第六回)、といったトピックに焦点を当てる。そのうえで、第七回〜八回では分析形而上学の具体的なごく短いテキストを取り上げ、そこでなされている議論を検討することで、形而上学的考察を実際に行うとはどんな作業をすることなのかについて、簡単な感触を掴んでもらう。これらの学習を通じて、形而上学の議論を理解するうえで必要となる論証のスキルや概念的道具立てを身につけ、後半のより応用的なトピックを学ぶ際に活かせるようにすることを目指したい。
残りの木下のパートでは、応用編として、私たちが属するさまざまな社会的カテゴリー(大統領、東京都民、日本人、妻、女性、成人など)の形而上学を扱う。第九回では、社会的カテゴリーが、どのように存在し、どのような特徴をもつのかについて一般的な考察を行なう。さらに第十、十一回では、とくにジェンダーというカテゴリーに焦点を合わせ、特定のジェンダーをもつことがどういうことであるのか、という問題に関して蓄積されている最近の議論状況を紹介する。

第1回講義内容
現代の形而上学:導入と概観

第2回講義内容
中間サイズの対象(1)

第3回講義内容
中間サイズの対象(2)、個物と普遍(1)

第4回講義内容
個物と普遍(2)

第5回講義内容
様相:可能性と必然性

第6回講義内容
因果性

第7回講義内容
分析形而上学のアーギュメントに挑戦(I)

第8回講義内容
分析形而上学のアーギュメントに挑戦(II)

第9回講義内容
社会的対象の形而上学

第10回講義内容
ジェンダーとはなにか

第11回講義内容
ジェンダーにまつわる諸問題

第12回講義内容
総括・試験

その他の学習内容
  ・・授業内容に関する質問は、教員/スタッフへの質問機能を利用して行ってください。 ・理解度の確認および、最終回の試験で用いる「小テスト機能」の使用テストを兼ねて、成績にはかかわらない小テストをいずれかの回の最後に実施する予定です。

成績評価方法

・最終回時以降に小テスト機能を用いた試験を実施し、その点数により評価します。
(また、小テスト機能の使用テストを兼ねて、いずれかの回の最後に小テストを実施しますが、そちらは成績にはかかわりません。)

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する

参考文献

『ワードマップ現代形而上学:分析哲学が問う、人・因果・存在の謎』/鈴木生郎・秋葉剛史・谷川卓・倉田剛 新曜社 2014
『現代存在論講義I』/倉田剛 新曜社 2017
『現代存在論講義II』/倉田剛 新曜社 2017
『日常世界を哲学する:存在論からのアプローチ』/倉田剛 光文社 2019
『現代形而上学入門』/柏端達也 勁草書房 2017

受講上の要望、または受講上の前提条件

毎回の授業内容を配付資料および参考文献を参照しつつ復習する。
前提知識は必要としませんが、事前に参考文献に挙げた『ワードマップ現代形而上学』の序章を読んでおくと、形而上学という分野の雰囲気をつかむことができるでしょう。