慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
法学(憲法を含む)
科目設置 総合教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 3分野科目/社会科学分野 単位 4
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2022 授業コード T0AB000201

講義要綱

皆さんは、「六法」という言葉はご存じだと思います。憲法、民法、刑法、刑事訴訟法、民事訴訟法、商法を6つの基本的な法分野として、明治期の日本で一冊の法令集としたことが始まりです。書店の書棚には様々な出版社からのいろいろな「六法」が並んでいますが、頁をめくると、実際は6つどころではなく、数多くの法令が収録されていることに気づかれましょう。上記の商法も、かつてはその第2編を中心として規定されていた「会社法」の部分が平成18年から独立した法令となり、「六法」にも収録されるようになりました。もちろん基本的で重要な法令であることには変わりありませんが、時代によって法令の内容も数も変化してゆくのであります。
 ところで本科目名である「法学(憲法を含む)」(以下、「法学」と記します)は、当然のことながらある具体的な法令の名前ではありません。「法学」は「六法」に代表される数多くの法令間に共通する用語・ものの考え方・概念に着眼して、広く法一般に対する皆さんの関心を拓くことに目的を置いて開講されています。
 テキストを開いて頂ければ分かるように、内容は緒論と本論に分かれており、本論はまた総論と各論に分かれています。この本論の総論部分が「法学」での学習範囲となりましょう。まずは難しくとも、その部分を通読するよう心掛けてください。そして入門者である皆さんにおかれては、「法学」とはなぜこのような方法で物事を考えるのか? という疑問ではなく(実はこの疑問はとても大事なのですが)、まずは、法を学ぶとは、あるいは「法学」的思考を持つとは、物事をこのように考えることなのだ、ということを受け入れてみるよう努力してください。最初のうちは難しくとも、やがて学んだひとつの事項が他の事項に関連付けられることが分かり、次第に奥行きをもった大きな体系思考が自分の中に拡大してゆくことに気づくことでしょう。その時、皆さんは他の法律科目へのより深い誘いを得たことになるのです。
 この「法学(憲法を含む)」では、レポートの課題や科目試験を通して、皆さんの基本的な理解力を問う出題をしてまいります。履修者の皆さんには頑張って頂きたいと思います。

関連科目

「法学概論」、「法哲学」等

成績評価方法

科目試験によります。

参考文献

伊藤正己・加藤一郎編『現代法学入門〔第4版〕』有斐閣双書
笹倉秀夫『法学講義』東京大学出版会
西村健一郎編『判例法学』有斐閣 等

レポート作成上の注意

テキストや参考書の丸写しは皆さんの勉強にはなりません。まずその課題について、テキストの説明文を良く読んでください(本論の各論部分も範囲です)。そこで理解が得られない場合には、図書館等で、上記参考文献なり関連する文献なりを参照して情報を得てください。レポートを作成するについては、レポート本文のどの箇所がそうした参照文献から引用されたものか、あるいはそれらを参考にして書いたものなのかを注番号を付して明示してください。そして参照文献については、著者名・書名・出版社名・刊行年・参照頁を、レポートの最後に明記することも忘れないでください。一味深みのあるレポートを作成したいのであれば、出題者はなぜこうした課題を求めたのか、を頭の隅に置いて書いてみることをお勧めします。