慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
新・社会学
科目設置 総合教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 3分野科目/社会科学分野 単位 4
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2022 授業コード T0AB000304

講義要綱

「社会的なるもの」(the social)を対象とし、理解するための想像力を身につけるのが社会学を学ぶ目的であり、本科目のゴールである。社会学という既存の知識体系がありそれを覚えるのではない。プランマーはいう。アウトサイダーの立場から社会を観察するやり方を学ぶことが社会学を学ぶことであり、そのことで世界の見え方は一変し、その人自身の生活を変えうる認識をもたらす。それだけにとどまらず、社会学は「誰にとってもよりよい世界」という希望をもたらす学的営為である、と。社会学史や社会学の理論を学び、調査を行うことで、希望を創造する。個々人のミクロな相互行為の世界とグローバルでマクロな社会構造を架橋する現代社会学の最前線を学んでいきましょう。

第1章 想像力―自分が作ったわけではない世界で行為すること
第2章 理論―社会的なるものを思考する
第3章 社会―21世紀を生きる人間
第4章 歴史―巨人の肩の上に立つ
第5章 問い―社会学的想像力を育むには
第6章 リサーチ―経験的なものに批判的に関与する
第7章 トラブル―不平等の苦しみ
第8章 ビジョン―社会学的希望を創造する
結 論 社会学的想像力―21のテーゼ

テキスト

ケン・プランマー著・赤川学監訳(2021)『21世紀を生きるための社会学の教科書』筑摩書房(ちくま学芸文庫 フ45-1)(原著2nd ed. 2016)

テキストの読み方

「結論 社会学的想像力―21のテーゼ」は最初に読んでください。どの番号のテーゼに魅力を感じますか。文章は難しくないので理解できますが、内実を伴って味わえないのではないですか。第1〜8章を読みつつ、時々、結論に戻ってきて読んでください。著者が言いたいことが腑に落ちるテーゼが増えてくるはずです。一般的な表現で書かれているテーゼと各章で述べらている具体的な事象が関連づいて理解できた証拠です。
 このテキストは各章において、(1)章タイトルとエピグラフ、(2)本論、(3)要約、(4)ボックス、(5)さらなる探究、(6)読書案内の6つから構成されている。読み手にとってメリハリがある構成であるから、どのような順番で読んでも良いが、本論とボックス(別項目立ての具体的な解説)は丁寧に読んでください。各部分のつながりが分かるようになれば、その章の理解ができています。

履修上の注意

本科目は大学入学から比較的早い時期に履修することを想定しています。しかし、論述という形式を習得していないでよいということではありません。レポートはアカデミックなルールにそって書かれていなければならないのです。その習得に向けて努力してください。

関連科目

社会学史、教育社会学、都市社会学、社会調査、社会学特殊(専門)、社会学特殊。

成績評価方法

科目試験による。

参考文献

各章の理解を深めるの参考文献は、テキスト各章末にある「読書案内」を参照してください。
本テキスト全体の理解には、本書に大きな影響を与えているのは次の文献を併読するとよい。
ミルズ, C・ライト著、伊奈正人・中村好孝訳(2017)『社会学的想像力』筑摩書房(ちくま学芸文庫 ミ22-1)。特に「付論 知的職人論」は読んでおくといい。

レポート作成上の注意

① テキストおよび参考文献の参照・引用には注をつけて該当箇所の典拠が示されていなければなりません。webからの参照・引用はURLを示したうえで、閲覧年月日をしめすこと。
② 注の付け方や参考文献の挙示のしかたは複数あります。本レポートでは社会学におけるスタンダードな書式に従ってください。https://jss-sociology.org/bulletin/guide/ を参考にしてください。
③ 社会学の専門用語は理解を曖昧なまま使わないこと。巻末(pp. 436-445)にある「用語解説」で確認すると良い。