慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
現代倫理学の諸問題
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 第1類 単位 4
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2022 授業コード T0EA004401

講義要綱

20世紀の倫理学をとりまく学問的状況、研究対象としている問題(実存、他者、世界、言語、宇宙における人間の位置、価値)を概観することを通して、倫理学という学問についてより深い理解を得ることを目的とします。指定教科書の構成は次の通りです。

第一部 現代における倫理学の可能性をめぐって
Ⅰ 現代社会と実存主義の立場
一 危機意識 二 大衆社会 三 ニヒリズム 四 社会参加
Ⅱ 状況倫理学の問題
一 状況倫理学誕生の背景と時代の精神状況 二 状況倫理学の系譜 三 状況倫理学の主要な特徴 四 状況倫理学の諸思想 五 状況倫理学の問題点
Ⅲ 今日の危機の構造と倫理学
はじめに 一 今日の危機の性格 二 今日という時代の位置 三 今日の危機の構造 むすび

第二部 倫理学の学問的基礎条件について
Ⅰ 批判の問題
はじめに 一 批判という言葉 二 否定の構造 三 批判の構造
Ⅱ 科学の問題
はじめに 一 科学を考察する方法 二 近世科学の構造 三 科学の実存論的意味
Ⅲ 歴史の問題─近代進歩史観・マルクス主義・実存主義
はじめに 一 近代進歩史観 二 マルクス 三 マルクス主義の展開 四 サルトル 五 メルロー=ポンティ むすび
Ⅳ 歴史の問題─終末史観と倫理学
はじめに 一 進歩史観の構造 二 キリスト教的終末史観の本質 三 進歩史観と終末史観の倫理性の問題 むすび
Ⅴ 倫理学のモデルの問題
はじめに 一 モデルの意味 二 今までの倫理学の科学的モデル 三 新しい科学的モデルの条件 四 新しい科学的モデルの基礎 むすび

第三部 現代倫理学の諸問題
Ⅰ 実存の問題
はじめに 一 実存という言葉 二 実存の概念 三 実存問題と時代的環境
Ⅱ 他者の問題
はじめに 一 他者という言葉 二 実存哲学の立場からの諸学説 三 現象学の立場からの見方
Ⅲ 世界の問題
はじめに 一 世界という言葉 二 世界像 三 世界観 四 世界
Ⅳ 言語の問題
はじめに 一 分析哲学の立場 二 言語学の立場 三 現象学的実存哲学の立場 四 モノロゴスとディアロゴス むすび
Ⅴ 宇宙における人間の位置の問題
はじめに 一 自然観をめぐっての一つの誤解 二 ハイデガーの示唆 三 新約の倫理 むすび
Ⅵ 価値の問題
はじめに 一 価値研究の歴史と今日の設問 二 事実と価値 三 価値の相対性と絶対性 四 新しい価値の創造という問題について

テキストの読み方

次のことを心掛けてください。①各章の冒頭や「はじめに」をよく読んで、その章のテーマと問題(疑問文の形式で書かれている問い)を書き出してみましょう。付箋紙に書き込んでテキストに貼っておくのが便利です。②段落ごとに、キーセンテンス(重要な文)やキーワードに注意しながら、内容を要約してみましょう。それをもとに、節全体の内容を要約してみましょう。③章末尾や「むすび」をよく読んで、冒頭で述べられたその章の問題(問い)に対する答えを確認しましょう。④わからない言葉や概念は事典、参考書などで調べてみましょう。⑤最初から最後まで読み通してください。たとえ理解できない箇所があっても、とにかく通読してください。

履修上の注意

要求される知識は特にありませんが、日頃から哲学や倫理学関係の新書などを読んで読解力を身につけてください。

関連科目

事前に履修しておくべき科目は特にありません。

成績評価方法

科目試験による評価。

参考文献

・山内志朗『小さな倫理学入門』慶應義塾大学出版会、2015年
・柘植尚則『プレップ倫理学』弘文堂、2010年
・柘植尚則編著『入門・倫理学の歴史─24人の思想家─』梓出版社、2016年
・小松光彦・樽井正義・谷寿美編『倫理学案内─理論と課題』慶應義塾大学出版会、2006年

レポート作成上の注意

『レポート課題集』の「レポート課題 現代倫理学の諸問題」の注意1~3をよく読んでください。