慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
教育史
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 第1類 単位 4
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2022 授業コード T0EA004503

講義要綱

〔授業の到達目標及びテーマ〕






教職を目指す者に必要とされる、教育の意義や目的、教育の理念や思想、教育の制度や組織、教育の方法と内容などの諸事項に関する基本的な理解を、日本の教育の歴史に対する考察を通して培うことを目標とする。また、これらの基本的な理解に基づいて、現在の教育の諸課題についても多角的な考察を深める。






〔授業の概要〕






日本における教育の歴史を、「習俗としての教育」「組織としての教育」「制度としての教育」という三つの視角に基づいて概述する。それを踏まえて、古代から現代に至る日本の教育の歴史的展開を、教育の意義・目的、教育の理念・思想、教育の制度・組織、教育の方法と内容などの変遷に着目しながら考察する。






〔授業計画〕






本講義では、教職を目指す者の素養として、日本の教育の歴史的進展に関する理解が必須との観点から、古代から現代に至る教育の通史的叙述を行っている。その際、各時代の教育組織化の動向や教えと学びのありようを歴史内在的に理解することで、この国の教育文化の伝統に対する理解を図ることを重視している。またそうした教育文化の伝統を踏まえながら、現在および将来の教育の課題を、自ら考えられるようにすることを目的としている。指定教科書の構成は次の通りである。






はじめに―本書の前提となる諸問題






第1章 「組織としての教育」の胎動と進展―古代・中世






第2章 近世における教育組織化の諸動向






第3章 江戸時代の「学び」―「組織としての教育」段階での学び






第4章 「近代教育」の発足(その1)―「学制」制定とその教育理念






第5章 「近代教育」の発足(その2)―「教育令」の制定と改正






第6章 「近代教育」の発足(その3)―復古主義の台頭






第7章 「近代教育」の確立(その1)―森有礼文政期の教育改革






第8章 「近代教育」の確立(その2)―「教育勅語」の渙発






第9章 「近代教育」の確立(その3)―明治後半期の教育改革






10章 「近代教育」の確立(その4)明治期の教授理論






11章 「近代教育」の見直し(その1)大正新教育運動






12章 「近代教育」の再編(その1)大正期の教育改革






13章 「近代教育」の再編(その2)昭和戦前期の教育






14章 「近代教育」の再編(その3)戦争と教育






15章 「近代教育」の見直し(その2)戦後新教育の動向






16章 「近代教育」の再興(その1)講和・独立後の教育政策動向






17章 「近代教育」の再興(その2)高度経済成長と教育






18章 「近代教育」の混迷―国家統制と市場原理






むすび 「制度としての教育」の次へ






 






 






 






 

テキストの読み方

 テキストの読み方については、個々の教育史の動向を、絶えずより大きな教育史の流れの中に位置づけながら理解することに心掛けてほしい。

履修上の注意

 テキストまたはスクーリングで「教育学」を履修していることが望ましい。なお、日本史の知識については、高等学校の教科書程度があれば問題ない。

関連科目

 教育学

成績評価方法

成績については、レポートの合格を前提としつつ、科目試験によって評価する。

参考文献

片桐芳雄・木村元編著『教育から見る日本の社会と歴史』八千代出版、第二版、2017年。

沖田行司『人物で見る日本の教育』ミネルヴァ書房、第二版、
2015年。




海後宗臣・仲新・寺﨑昌男『教科書でみる近代日本の教育』東京書籍、1979年。




佐藤秀夫『教育の文化史』全4巻、阿吽社、2004年。




『論集 現代日本の教育史』全7巻、日本図書センター、2013-14年。

国立教育研究所編『日本近代教育百年史』全10巻、教育研究所振興会、1973‐74年。


レポート作成上の注意

 レポート作成については、とくに以下の二点を注意事項として示しておく。一つには、実証的な内容であることに留意すること。そのため、歴史事象の記述についてはできる限り第一次資料に基づいて出典を明記してほしい。もう一つには、教育史の流れを大局的に把握すること。そのため、時代背景を踏まえるとともに、事象が生起するに至るまでの歴史的経緯をよく理解してほしい。また、当該事象の今日的意義やその後の歴史に与えた影響を視野に含めた記述内容であることも必要である。