慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
書道
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 第3類 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2022 授業コード T0EA007501

講義要綱

 わが国の書道の歴史は、6世紀の飛鳥時代から始まります。この時代から平安時代初期(書道史では「弘仁時代」と区分します)までは、中国の書の影響を濃厚に受けて発達を遂げてきました。しかし、平安時代前期(書道史では「藤原時代」と区分します)以降、江戸時代に至るまでの間は、その時々で中国の影響は部分的に受けつつも、日本人の国民性や好み、あるいは文化のあり方などによって独自の発達と変遷を遂げていきました。
 テキストでは、中国の名筆からわが国の名筆までを数々取り上げていますから、熟読して、変遷やそれぞれの時代の書風の特徴などの理解を深めて欲しいと思います。

 また、本科はこうした日本書道史とともに、名筆を忠実に真似て筆法を学ぶ「臨書」という実技も課せられています。臨書の作品を提出するにあたっては、十分な練習を繰り返して下さい。

履修上の注意

 講義は「書道」ですが、歴史的あるいは文学的知識が基礎にある程度ないと、深く理解することは難しいです。広く、興味や関心を持って臨んで下さい。わからない用語などが出てきたら、参考書に当たってきちんと調べるという習慣を身につけましょう。

成績評価方法

科目試験による。

参考文献

・春名好重『日本書道史』 淡交社
・春名好重『能書百話』 淡交社
・春名好重『古筆百話』 淡交社
・春名好重ほか『書道基本用語詞典』 中教出版

レポート作成上の注意

 臨書作品を提出する際は、漢字の臨書は半紙に4文字を大きく書くか、原寸大で書くこと。4文字で大きく臨書する場合には漢字用の4号筆を用いるのが、一方で、原寸大で臨書する場合には「雀頭筆」(主に奈良時代や平安時代に使用された筆。書道用品専門店で入手可能)を用いるのが、それぞれ望ましい。仮名の臨書には、本来であればいわゆる仮名用の筆を用いるのが望ましいが、入手が困難であれば、一般的に販売されているいわゆる「小筆」でも構わない。ただし、いわゆる「小筆」では流麗な線質がなかなか表現しにくいと思われるので、穂先をよく利かせて書くこと。
 レポート作成の際は、テキスト以外の書物も大いに参考にして、正しく理解し、消化した上で自らの言葉でまとめること。当然のことながら、テキストの本文やネットなどで簡便に得られる内容の抜き書き(またはそれに近いもの)は不可であるし、規定字数以上の大幅な超過も認めない。