慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
アメリカ文学
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 第3類 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2022 授業コード T0EA004104

講義要綱

〔授業の到達目標及びテーマ〕

 17世紀から21世紀へ至る具体的な作品を総覧することで、アメリカ英語の独特な表現はもとより土壌となる文化への理解、それらが生み出した時代ごとの文学的名作を通しアメリカ文明史そのものへの理解を深めることを到達目標とする。

〔授業の概要〕
 アメリカ文学に親しむには、植民地時代以来、アメリカ文学史において長く培われたアメリカン・ナラティヴの形成と発展に注目することが不可欠である。コロニアリズムからポスト・アメリカニズムへおよぶ射程の中で、文学はいったいどのように歴史と連動したのか、あるいは歴史はいかに文学を創造したのか、アメリカ文学思想史の可能性を探る。
 その学習過程では、17世紀から21世紀へ至るアメリカ英語表現はもとより土壌となる文化、それらが生み出した時代ごとの文学的名作を通したアメリカ文明への理解を深めていくことになる。

テキスト

巽孝之『アメリカ文学史─駆動する物語の時空間』慶應義塾大学出版会、2003年

※「アメリカ文学」は上記市販書と、配本テキストのアンソロジー『アメリカ文学』の2冊が指定テキストとなります。

テキストの読み方

指定教科書の主な構成は、次のとおりである。
(1)巽孝之『アメリカ文学史――駆動する物語の時空間』(慶應義塾大学出版会、2003年)
はじめに――「アメリカ文学史」とは何か
第1章 アメリカ文学史序説――ロード・ナラティヴの千年紀
第2章 神権制下の文学――ピューリタニズム
第3章 独立革命の文学――リパブリカニズム
第4章 膨張主義の文学――トランセンデンタリズム
第5章 進化思想の文学――ダーウィニズム
第6章 荒地以後の文学――コスモポリタニズム
第7章 冷戦危機の文学――ポスト・アメリカニズム
第8章 アメリカ文学の正典を読む

(2)巽孝之『アメリカ文学』(慶應義塾大学教材 通信教育課程テキスト、2010年)
CHAPTER ONE
 John Winthrop, “A Model of Christian Charity” (1630)
  著者と作品、英文、解説
CHAPTER TWO
 Benjamin Franklin, “The Speech of Miss Polly Baker” (1747)
  著者と作品、英文、解説
CHAPTER THREE
Thomas Jefferson, “The Declaration of Independence” (1776)
  著者と作品、英文、解説
CHAPTER FOUR
Edgar Allan Poe, “Hop-Frog” (1849)
  著者と作品、英文、解説
CHAPTER FIVE
Ambrose Bierce, “An Occurrence at Owl Creek Bridge” (1890)
  著者と作品、英文、解説
CHAPTER SIX
Mark Twain, “The War-Prayer” (1904-05)
  著者と作品、英文、解説
CHAPTER SEVEN
F. Scott Fitzgerald, “The Swimmers” (1929)
  著者と作品、英文、解説
CHAPTER EIGHT
Thomas Pynchon, “Entropy” (1960)
  著者と作品、英文、解説
CHAPTER NINE
Karen Tei Yamashita, “Siamese Twins and Mongoloids” (1999)
  著者と作品、英文、解説

履修上の注意

作品の翻訳を参考にしてもよいが、必ず原文で作品を読むことが求められる。また、レポートを書く際、既成の文献からの剽窃があると認められる場合は失格となるので注意されたい。

成績評価方法

レポートの合格を前提として科目試験によって評価する。

参考文献

Peter High, An Outline of American Literature. New York: Longman, 1986.


巽孝之・宇沢美子『よくわかるアメリカ文化史』(ミネルヴァ書房、2020年)
別府恵子・渡辺和子『新版 アメリカ文学史』(ミネルヴァ書房、2000年)

レポート作成上の注意

アメリカ文学史の流れをふまえ、作家や作品が文学史のどこに位置しているのかを意識することが重要である。その上で、作品を読んで自身で考察したことを述べること。その際、作家および作品に関するリサーチを必ずおこない、先行研究をふまえて自身の考察を構築することが求められる。なお、既存の文献を参考にした場合は、かならずその旨を明記し、剽窃を疑われないように注意すること。