慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
近代ドイツ小説
科目設置 文学部専門教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 第3類 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2022 授業コード T0EA006401

講義要綱

教科書『近代ドイツ小説』ではおもに小説ジャンルに特化して、ドイツ文学史を語っています。(韻文でなく)散文による物語である「小説」は、元来は「叙事詩」「抒情詩」「戯曲」という古典的ジャンルより低くみられていました。しかし、小説は近代以降しだいに文芸の中心的なジャンルになっていきます。それは、近代以降の人間や社会の多面性と複雑さを表現するうえで、小説が持つ自由度の高さが大きな利点となったためです。教科書を読む際は、「小説が何を表現しようとしているか」に着目しながら、近代以降の小説の歩みを辿ってみてください。
履修に際しては、何をおいても教科書を熟読し、内容をしっかり理解するよう努めてください(レポート課題や科目試験は基本的に、この教科書の範囲内から出題されます)。くりかえし教科書を読むうちに、ここで紹介された作品に興味がわいてくるはずです。翻訳で手に入るものも多いので、ぜひできるだけ多くの作品に触れてみてください。そうすることで、教科書の記述がストンと腑に落ちるのではないかと思います。興味がわいたら、小説以外のドイツ文学について知るために、何種類も出ているドイツ文学史をひもとくのも良いでしょう。また、ドイツ文化史やドイツ(語圏)の歴史に関する参考書を読むことで、さらに教科書の記述が立体的につかめるようになるはずです。この授業を通して、ドイツ文学やドイツ語圏の文化・歴史を深く知るための大きな足がかりが得られることを願っています。

テキストの読み方

教科書を2回は通読してみましょう。最初は聞いたことのない固有名詞や作品名の羅列に思えても、何度も読むうちにドイツ近代小説の歴史全体が、いくつものうねりをもち、数々のドラマに彩られた大きな流れとして捉えられるようになるはずです。そうなったら、その次は自分が興味を持った作品を実際に読んでみてください。そのうえで、自分の関心に応じてさらに参考文献に当たり、徐々に知識を増やしていっていただけたらと思います。

履修上の注意

現代においてインターネットは有力な情報源です。ドイツ小説に関しても、作家や作品についてネット上で得られる有効な情報は多々ありますから、大いに利用してください。ただし、レポート作成に際しては、ウィキペディアなどのネット情報の「コピペ」は厳禁です。

関連科目

文学はあらゆる事象に関連していますが、とくに哲学、政治、美術史、音楽などに関心をもってください。さらに余力があれば、社会学、歴史学、科学史などの分野にも進んでください。

成績評価方法

科目試験によって評価します。

参考文献

藤本淳雄ほか著『ドイツ文学史(第2版)』(東京大学出版会、1995年)
佐藤晃一『ドイツ文学史』(明治書院、2002年)
岡田朝雄ほか著『ドイツ文学案内(増補改定版)』(朝日出版社、2000年)
柴田翔編著『はじめて学ぶドイツ文学史』(ミネルヴァ書房、2003年)
保坂一夫『ドイツ文学(放送大学教材)』(放送大学教育振興会、2003年)
畠山寛ほか編著『ドイツ文学の道しるべ ニーベルンゲンから多和田葉子まで』(ミネルヴァ書房、2021年)
阿部謹也『物語 ドイツの歴史 ドイツ的とはなにか』(中公新書、1998年)
宮田眞治ほか編著『ドイツ文化55のキーワード』(ミネルヴァ書房、2015年)

レポート作成上の注意

レポート執筆の際は、教科書や参考文献のたんなる引き写しにならないよう気をつけてください。教科書や参考文献を読んで理解したことを、自分の言葉で言い換えて、自分の友人に語って聞かせるつもりで書いてください。参考文献からの引用にはかならず出典を(通常は脚注として)明記してください。(「論文の書き方」等の本で論文の構成や脚注の付け方を確認してください。)