慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
原価計算
科目設置 経済学部専門教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2022 授業コード T0EB002003

講義要綱

原価計算は、特に原価情報の収集、伝達を目的に展開される企業会計の一分野である。原価計算を行うのは、一方で、複式簿記と関連付けながら、その基礎数値を提供して企業外部に報告する財務諸表の作成を行うためであり、他方で、経営管理に役立つ情報を提供して企業経営の効率性・効果性の向上に資するためである。前者を特に原価計算制度という。本講義は、原価計算制度を中心にしつつ、経営管理に役立つ原価計算についても一部ではあるが対象にする。具体的には、概ね以下の項目について原価計算の理論と計算方法の大要について学習することを目的とする。
(1)原価計算の意義と目的、(2)工業簿記と原価計算、(3)原価要素の分類、(4)費目別計算(材料費、労務費、経費)、(5)製造間接費の配賦計算、(6)部門別計算、(7)製品別計算①:個別原価計算、(8)製品別計算②:総合原価計算、(9)標準原価計算、(10)利益管理のための原価計算(直接原価計算、CVP分析)、(11)その他(差額原価収益分析など)。

テキスト

園田智昭・横田絵理『原価・管理会計入門』中央経済社、2010年

テキストの読み方

学習に際してのテキストの使用にあたっては、次の点を注意すること。
①原価集計の流れ及び学習項目の位置づけを把握し、自分が現在学習しているのはどこの部分なのかを意識しながら学習すること。
②面倒でも、原価の集計プロセスを、複式簿記の記帳システムを参考に、数字を跡づけながら学習すること。
③原価計算は計算が中心であるから、読むだけでなく実際に計算をしながら学習していくこと。
④まず、理解すること。理解したら、理解したことをスムーズに計算できるように練習すること。
⑤テキスト以外では、日商簿記検定2級工業簿記レベルの計算問題や勘定連絡は特に参考になる。

履修上の注意

会計学、経営学に関する基礎的な学習が済んでいることが望ましい。

成績評価方法

科目試験による。

参考文献

①岡本清『原価計算(6訂版)』国元書房、2000年
②小林啓孝『現代原価計算講義(第2版)』中央経済社、1997年
③園田智昭『プラクティカル管理会計』中央経済社、2017年

レポート作成上の注意

学習にあたっては、原価計算の大きな流れを理解し、個別の学習項目がそのどこに当たるのかを常に意識すること。さらに、原価計算と複式簿記は密接な関係にあるので、記帳の流れにも留意しながら考えること。原価計算は、文字通り計算が中心であるので、理論的学習と計算練習を常に連動させること。理論を理解するための計算の練習であり、計算を練習するための理論の理解である。レポート作成にあたっては、テキストの内容をよく理解した上で、自分の言葉で簡潔に説明すること。テキストだけでは不足する場合には、参考文献①と②や日商簿記関連の文献も活用するとよいだろう。