慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
刑法各論
科目設置 法学部専門教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 甲類・乙類 単位 4
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2022 授業コード T0EC003904

講義要綱

刑法各論では、刑法典「第2章 罪」に規定されている個々の犯罪の成立要件をめぐる議論について学びます。判例を参照しつつ、自らの力で事例問題を解決する力を身に付けることを目的とします。
 第1章 イントロダクション
 第2章 刑法における生命の保護
 第3章 身体に対する罪
 第4章 生命・身体に対する危険犯
 第5章 自由に対する罪
 第6章 個人の私的領域を侵す罪
 第7章 社会的存在としての人の保護
 第8章 財産の刑法的保護
 第9章 窃盗罪と器物損壊罪
 第10章 強盗罪
 第11章 詐欺罪と恐喝罪
 第12章 横領罪と背任罪
 第13章 盗品等に関する罪
 第14章 公共危険罪
 第15章 文書偽造罪
 第16章 その他の偽造罪
 第17章 風俗に対する罪(風俗犯)
 第18章 公務執行妨害
 第19章 司法手続の保護
 第20章 職権濫用の罪
 第21章 賄賂の罪

テキスト

井田良=佐藤拓磨『刑法各論〔第3版〕(新・論点講義シリーズ2)』(弘文堂、2017年)
※第2版を購入済みであっても、図書館などで第3版の内容を確認しておくことを強く勧めます。

テキストの読み方

刑法各論上の論点を理解する上で、刑法総論や民法の知識が不可欠になることがあります。そのような場合には、それらの科目のテキストを見返して知識を確認してください。
 テキストが難しいと感じたら、参考文献欄に掲げた入門書を読んでください。

履修上の注意

刑法各論では、条文の文言をめぐる精緻な解釈論が展開されます。したがって、学習の際には常に六法を手元に置き、条文のどの文言に関する議論を学んでいるのかを常に確認してください。
 また、刑法総論と比較して議論が具体的であるため、判例学習の重要性が増します。判例教材を活用しながら学習を進めてください。

関連科目

刑法総論、刑事訴訟法、刑事政策学

成績評価方法

科目試験による。

参考文献

井田良『入門刑法学・各論〔第2版〕』(有斐閣、2018年)
亀井源太郎ほか『刑法Ⅱ各論(NBSシリーズ)』(日本評論社、2020年)
佐伯仁志ほか編『刑法判例百選Ⅱ 各論〔第8版〕』(有斐閣、2020年)
成瀬幸典ほか編『判例プラクティス刑法Ⅱ 各論』(信山社、2012年)
井田良・城下裕二編『刑法各論判例インデックス』(商事法務、2016年)

レポート作成上の注意

事例問題を解くにあたっては、まず課題のストーリを読み、六法をめくりながら、刑法典の条文に該当しそうな事実(行為)を抽出しなくてはなりません。これにより、何罪の成否が問題となるかを明らかにします。
 次に、その罪の成否との関係でどのような法的論点が生じるのかを示します。課題には、複数の論点が隠れています。
 続いて、論点ごとに判例・学説を調査してその内容を要約し、それらのうちのどの考え方を支持するかを提示します。その際、当然、論拠を示すことが必要になります。
 最後に、自分の見解を課題の事例にあてはめ、何罪が成立するのかを明らかにします(まったく犯罪が成立しないケースもあるかもしれません)。
 以上のことを簡単にまとめると以下のようになります。
  第1のステップ:事実の抽出
  第2のステップ:問題提起
  第3のステップ:既存の判例・学説の要約
  第4のステップ:私見の提示・あてはめ
  (以上の作業を論点ごとに行い、最終結論を出す)
 なお、事例問題の検討方法については、必要に応じて、本科目の指定テキストの「補講 法科大学院が教えるべきこと・法科大学院で学ぶべきこと」や、井田良『入門刑法学・各論〔第2版〕』(有斐閣、2018年)の「第12講 事例の解決の方法論を学ぶ」も参照してください。
 また、刑法のレポート作成の際の文章作法については、井田良ほか『法を学ぶ人のための文章作法』(有斐閣、2016年)187頁以下が参考になります。