慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
国語科教育法特殊Ⅰ
科目設置 教職科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 教職 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2022 授業コード T0F0004901

講義要綱

〔授業の到達目標及びテーマ〕
 学習指導要領を意識しながら学び合いを取り入れた授業作りができる。
 子供の認識・思考、学力等の実態を視野に入れた授業設計の重要性を理解している。
 学習指導案の構成を理解し、具体的な授業を想定した授業設計と学習指導案を作成することができる。
〔授業の概要〕
 国語の教師となるにあたって、どのような知識が必要かということだけでなく、教師になってからどのような姿勢を保ち続けられるかということを意識したい。さらに、知識・理解だけではなく、生身の人間同士による対話から学びが作られていくことを忘れてはならない。
 単に適切に指導案を作成して滞りなく教師主導型の授業が出来れば良いのではなく、生徒同士や時には生徒と教員で意見をぶつかり合わせるような躍動感のある授業を形成できるようにしたい。そのやりとりの中でより深い学びが形成されていくのである。よって以下に示した参考文献にも目を通し、学び合いの技法も取り込んだ授業計画を立ててほしい。その他、様々な文献に目を通したうえで指導案の作成に活かしてほしい。
〔授業計画〕
 基本的には学習者をまず第一に考えながら教材と指導事項について考えることが重要である。具体的には生徒観については各学校によってさまざまな事情がからんでくるので、通信教育課程ではその設定をしっかりすることが肝要になる。自分なりに設定した校種とその学年のイメージに齟齬がないように指導案の作成等に取り組みたい。ここを踏まえて学習者にとって一番効果の高い教育について考えることが目的である。指定教科書の構成に即した授業計画は次のとおりである。
 学習項目1:国語の授業の構想 学習指導要領や教科書の内容を理解しつつ指導計画や指導案作りに生かす(テキストP7~32)
 学習項目2:国語の授業の工夫 実践の場において必要となる考え方や態度、発問や板書などの技能を学ぶ(テキストP33~58)
 学習項目3:話すこと・聞くことの授業 話すこと・聞くことの指導法とスピーチやディベートなどの実践について学ぶ(テキストP59~72)
 学習項目4:書くことの授業 書くことの指導法と作文や創作などの実践について学ぶ(テキストP73~88)
 学習項目5:読むことの授業 読むことの指導法と文学的文章や説明文の読み、調べ読みや比べ読みなどの実践について学ぶ(テキストP89~112)
 学習項目6:伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項の指導 古典や仮名遣い、言葉のきまりなどの指導法や実践について学ぶ(テキストP113~140)
 学習項目7:国語科の評価 書くこと読むこと伝統的な言語文化などの評価と相対評価・絶対評価について、指導と評価の一体化などについて学ぶ(テキストP141~178)

テキスト

中原國明・大熊徹編『国語科授業用語の手引き 第二版』(2009.1 教育出版)

テキストの読み方

通読して体系的に学ぶだけではなく、辞書的にも活用して理解を深めてほしい。また、特に昨今のICT教育については最新の動向に注意する必要がある。インターネット上のサービスやアプリなどは機能の追加など動きが激しいので書籍だけでは追いきれない。実際に触れてみて活用の道をイメージしていくことが肝要である。

履修上の注意

参考文献にあげたようなもののなかから学び合いの方法やICTの活用法についてを並行して理解していくことが求められる。

関連科目

特になし。

成績評価方法

レポートの合格を前提として科目試験によって評価する。

参考文献

・平成29・30年改訂 学習指導要領、解説等 ※文部科学省のホームページよりダウンロードできる。

・「文部科学省検定済教科書 中学校国語 または 高等学校国語」出版社不問

・堀裕嗣『教室ファシリテーション10のアイテム100のステップ』(2012.3 学事出版)

・堀裕嗣『国語科授業づくり10の原理100の言語技術』(2016.3 明治図書出版)

・町田守弘『実践国語科教育法──「楽しく、力のつく」授業の創造』(2019.4 学文社)

・野中潤『学びの質を高める! ICTで変える国語授業 ―基礎スキル&活用ガイドブック―』(2019.2 明治図書出版)

・野中潤『学びの質を高める! ICTで変える国語授業2 ―応用スキル&実践事例集―』( 2021.1 明治図書出版)

・石丸憲一、正木友則『Chromebookでつくる小学校国語の授業』(2021.10 明治図書出版)

・前多昌顕『先生のためのICTワークハック 業務の生産性向上から授業・学級づくりまで』(2021.11 明治図書出版)

レポート作成上の注意

学び合いの時間については無理のない時間を設定すること。板書案には生徒から出るであろうと仮定したものを記入してよい。