慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
社会科・公民科教育法
科目設置 教職科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 教職 単位 3
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2022 授業コード T0F0003002

講義要綱

〔目標およびテーマ〕
 直接的には、高等学校公民科(現代社会・政治経済・倫理)一種免許にかかわる科目であるが、中学校社会科とも関連させながら、中等教育全体における社会科教育(学習)のあり方について、包括的な理解と幅広い考察をめざしたい。
〔概要〕
 選挙権を行使して国政へ参加する主権者として、また、一経済主体である消費者として、子どもたちは、公民の授業を通して、さまざまな社会問題への関心を深めていくであろう。学生にとっても、積極的に社会に参加し、果たすべき役割を考える機会となり、さまざまな授業の実践的テクニックを習得する好機となることを期待する。
〔計画〕
 指定教科書の構成は、以下のとおりである。まずは、興味のある箇所から目を通してみるのでかまわないが、いずれは通読してもらいたい。
『〔新版〕社会・地歴・公民科教育法』
まえがき
 第1章 中等社会・地歴・公民科教育の歴史
 第2章 中等社会科カリキュラムの内容と構造
 第3章 中等社会科・地歴・公民科の授業づくりと方法
 第4章 中等社会科教育の課題
巻末資料
『新しい公民科教育の実践と理論―公民科教育法』
まえがき
 第1章 学習指導の理論と実践法 
 第2章 実践編
 第3章 理論編
付録

テキスト

臼井嘉一・柴田義松編著『〔新版〕社会・地歴・公民科教育法』学文社、2009年
魚山秀介・小泉博明・楢原毅・宮崎猛編『新しい公民科教育の実践と理論―公民科教育法』清水書院、2011年

テキストの読み方

社会科教育において「変えていくべきところ」と「変えてはいけないところ」を、それぞれ意識しながら、読みすすめていってほしい。

履修上の注意

事前に履修しておくべき科目はとくにない。学習者である現代の中高生が、どのような生活をしているのか、そのライフスタイルや興味の対象について、つねに関心をはらいながら学習をすすめてほしい。

成績評価方法

科目試験による。

参考文献

1)文部科学省『中学校学習指導要領』『高等学校学習指導要領』
2)指定したテキストのほかに、どの会社のものでもよいので、高校教科書の「現代社会」「政治経済」「倫理」が手元で参照できる状態であることがのぞましい。教科書は、各居住地域の「教科書取次店」で入手できる(参考までに、東京地区では、千代田区神田駿河台の三省堂書店本店が便利である)。各教科書の価格は書店で確認してほしい。また、今回のレポートの作成にあたっては、地域の図書館等を利用し、それぞれのテーマに関連して、各省庁から出ている白書類(『経済財政白書』『防衛白書』等)や、全国紙の縮刷版、時事用語事典類(『現代用語の基礎知識』『知恵蔵』等)を参照することも重要である。できるかぎり新しい資料の活用に努めること。
3)公民科としての学習領域とその内容を把握するために『高等学校学習指導要領解説─公民編─』(文部科学省)を手元に用意しておくことがのぞましい。

レポート作成上の注意

(1)について:1000字は、写真などをのぞくと、高等学校の標準的な教科書の2ページ程度のボリュームである。したがって、できるかぎり要点を絞って書くことがのぞまれる。いずれのテーマも、できるかぎり多角的なアプローチで考察してほしい。
(2)について:かならずしも学習指導案の形式をとる必要はないが、第三者からみて、授業の流れとそのようすがわかるような構成となるように工夫すること。板書案は、黒板の形の長方形を描き、分割や文字の配置などがわかるように記述する。また、授業の基本は、教師側からの問題提起(発問)とそれに対する生徒の応答である。つねに生徒が積極的に授業に参加できるような仕掛けを盛り込んでほしい。全体の授業時間(基本は1コマ50分)の配分も念頭において計画すること。
 なお、インターネットで検索した資料を利用することは差し支えないが、参照したホームページのURLと、アクセスした日付を明記することがルールであるのは言うまでもない。