慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
英語科教育法Ⅰ
科目設置 教職科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 教職 単位 2
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2022 授業コード T0F0005201

講義要綱

〔授業の到達目標及びテーマ〕
 将来、英語教育に携わろうと思うものを対象に、中学校及び高等学校における外国語(英語)の学習・指導に関する知識と授業指導及び学習評価の基礎を身に付けさせることを授業目標とする。大枠としては、受講者が、カリキュラム・シラバスに関するもの、生徒の資質・能力を高める指導にかんするもの、授業づくりに関するもの、学習評価に関するもの、及び第二言語習得に関するものを学習し、理解し、そして実際の授業指導に生かすことができるような力を養うことが本授業の到達目標である。
〔授業の概要〕
 内容的には、英語科教育法の理論的側面(目的論、カリキュラム論、教材論、学習者論、教授法論、評価方法論など)や、英語科教育法の実践的側面(教育実習への準備を目的として、学習指導案の書き方、4技能(スピーキング、リスニング、リーディング、ライティング)・文法・語彙・実践的コミュニケーション能力の指導法、ITの活用)を扱う。
〔授業計画〕
 指定教科書の構成は以下の通りである。
 第1章 英語教育の目的 Purposes of English Education
  1 グローバル社会と英語
  2 日本の英語教育史
  3 現在の英語教育政策
 第2章 英語教師論 Becoming a Good
Language Teacher
  1 求められる資質・能力
  2 授業実践上の課題
  3 教師の成長
 第3章 学習者論 Becoming a Successful
Learner
  1 学習者要因
  2 学習ストラテジー
  3 学びのトレーニングの必要性
 第4章 言語習得と言語教育 Language
Acquisition and Language Teaching
  1 第一言語習得
  2 第二言語習得
  3 第一言語習得と第二言語習得を比較する…外国語教育の視点から
  4 英語教育のここを疑ってみよう
 第5章 教授法 Ways of Teaching
  1 教授法に関する言葉の定義
  2 意識的な文法理解
  3 無意識に使えるまで繰り返す
  4 コミュニケーションによる第二言語習得
  5 学習者をリラックスさせよ
  6 学習の焦点はどこにあるのか
 第6章 学習指導要領 The Courses of Study
  1 学習指導要領とは何か?
  2 現行学習指導要領の要点
  3 何を教えればよいのか?
 第7章 リスニング指導 Teaching Listening
  1 リスニングとは何か?
  2 リスニング指導の目標
  3 リスニングの指導過程
  4 リスニング指導のアクティビティ
  5 上手な聞き手とは
 第8章 スピーキング指導 Teaching Speaking
  1 スピーキングとは何か
  2 スピーキング指導の目標
  3 教室でのスピーキングのタイプ
  4 スピーキング指導の具体例
  5 上手な話し手とは
 第9章 リーディング指導 Teaching Reading
  1 リーディングとは何か?
  2 リーディング指導の目標
  3 リーディングの指導過程
  4 リーディング指導のアクティビティ
  5 上手な読み手とは
 第10章 ライティング指導 Teaching Writing
  1 ライティングとは何か?
  2 ライティング指導の目標
  3 文字と単語
  4 英文を書く
  5 パラグラフを書く
  6 上手な書き手とは
 第11章 4技能と音声・語彙・文法指導 
Teaching the Sounds, Words, and Grammar for the Four Skills
  1 コミュニケーション能力
  2 4技能のための音声指導
  3 4技能のための語彙指導
  4 4技能のための文法指導
  5 定型表現とやりとりの仕方の指導
 第12章 教材研究 Materials Development
  1 教材内容の研究
  2 指導方法の研究
  3 教材の評価
 第13章 指導案 Lesson Plans
  1 2種類の指導案
  2 指導案に書くべきこと
  3 指導案作成で心がけるべきこと
 第14章 ティーム・ティーチング 
Team Teaching
  1 Team Teachingの基礎知識ときまり
  2 JTLとALTの役割
  3 ALTとの人間関係
  4 TTの授業の実際
  5 TTの3Rs(Rules, Roles, and
Relationships)と教師の成長
 第15章 評価とテスト 
Assessment and Testing
  1 評価に関する用語の定義
  2 さまざまな評価とテスト
  3 テスト作成の条件
  4 4技能の評価
  5 筆記テスト以外の評価
 第16章 教育実習 Teaching Practicum
  1 教育実習の意義と目的
  2 教育実習ですべきこと
  3 教育実習の心構え
 第17章 今後への展望 Outlook on English
Education in Japan
  1 英語教育の今後への展望
  2 英語教師に求められる資質能力とは何か?

テキスト

岡田圭子他(2015)『基礎から学ぶ英語科教育法』松柏社

テキストの読み方

常に実践を意識しながら、しっかりと読んで「基本」を学んでほしい。なお、講義要綱に記載の分野(目的論・カリキュラム論・教材論・学習者論・教授法・評価・指導実践各論)については、複数の参考書を使い、その理解を深めてほしい。

履修上の注意

履修上の条件は特に無いが、教職に関する科目(特に教育心理学・教育方法論・学校カリキュラム論等に関連する科目)や、教科に関する科目(特に英語学・言語学・英米文学・比較文学などに関連する科目)等と同時ないしはその履修後にとりかかることを勧める。

関連科目

上記(「履修上の注意」)参照。

成績評価方法

レポートの合格を前提として科目試験によって評価する。

参考文献

文部科学省(2017)『小学校学習指導要領』
文部科学省(2017)『中学校学習指導要領』
文部科学省(2009)『高等学校学習指導要領』

レポート作成上の注意

課題1は英語で書くこと。教育実習生の英語力の低下が現場では問題となっているので、英語の辞書や英語そのものに関する参考書を使い、英語の教員としてふさわしい完璧な英語で作成して欲しい。また、教案は人に見てもらうことが多いので、第三者がみても分かり易いフォーマットで作成すること。