慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
統計学(A)
科目設置 総合教育科目 授業形態 テキスト科目
科目種別・類 3分野科目/自然科学分野 単位 4
キャンパス - 共通開講学部 -
設置年度 2022 授業コード T0AC000604

講義要綱

社会科学分野の研究においても、統計的分析が不可欠となってきており、社会科学における基礎学問としての「統計学」の重要性が高まってきています。本科目では、①統計的記述(実際のデータの特徴をどのように捉えるか)、②統計的推測(標本から母集団の特徴をどのように推定するか)、③統計的検定(理論的主張をどのように検定するか)、④相関・回帰分析(複数の変数の間の相関・因果関係についての分析)について様々な分布を用いながら学びます。本科目では、統計学の考え方を実際のデータを用いた分析で実践することにより、統計的分析の基礎を身につけることを目的としています。指定教科書の構成は次の通りです。
 第1章 データを記述する数値的尺度
 第2章 データを記述する図
 第3章 度数分布表から計算する数値的尺度
 第4章 確率
 第5章 確率変数と確率分布
 第6章 確率変数の関数
 第7章 正規分布
 第8章 中心極限定理
 第9章 信頼区間の推定
 第10章 仮説検定
 第11章 相関分析
 第12章 回帰分析の基礎
 第13章 回帰式の説明力
 第14章 推定と検定
 第15章 様々な平均
 第16章 不平等度の分析
 第17章 二項分布
 第18章 二項分布の推定と検定
 第19章 様々な分布
 第20章 パラメータの推定

テキストの読み方

各章の最初に示されているその章の解説を読み、まずは細かいところは気にせずその章を一通り読むことによって、概要をつかんでください。そして、次に例題を手掛かりにしながらコツコツと読み進めてください。分析によっては計算量が多くなってしまう場合があります。その際にはエクセルを積極的に活用してください。各章末にエクセルの利用に関する解説が示されています。例題を理解していくことによってレポートに取り組む準備が整うことになるでしょう。また、基礎の部分に落ち着いて取り組めるよう、この科目では、テキストに発展項目と示されている節は試験・レポートでは範囲外としています。まずは基礎の部分にしっかり取り組んでください。
 そして、章末の練習問題にも取り組むことによって理解を深めてください。それらは、いずれも現実社会のデータに関するものです。現実のデータを用いて統計分析を考えることによって応用力が身につきます。巻末の解答の指針を丸暗記するのではなく、それぞれの問題で確認すべき分析や考え方は何かを意識しながら取り組んでください。試験では、データを用いた計算とそれに関する統計学的考え方の理解が問われますので、練習問題を理解することによって試験に向かう準備が整うことになるでしょう。(発展問題は試験の範囲外になります。また、試験はテキストに登場する式や分布の暗記を求めるものではありません。そのため、試験問題には、解答に必要となる主要な式や分布表が提示されます。今年度より、この科目の科目試験はすべて持ち込み不可となります。簡単な足し算、引き算、掛け算、割り算を行う問題は出題されますが、時間を過度に要するような計算が課されることはありません。計算に時間のかかる部分、ルートなど電卓が必要となるような計算については、解答に必要となる計算の結果が問題用紙に示されます。また、解答にあたって微分や積分の計算が必要となる問題は出題されません。)

履修上の注意

テキストには、微分・積分が現れますが、本テキストは、微分・積分の知識や習熟については前提としていません。統計的な分析の理解や実践において必要なのはそれらの「考え方」にすぎません。科目試験だけでなく、レポートにおいても微分・積分の計算が要求されることはありません。(確率分布に関して複雑な計算が必要な場合や特殊な計算が必要な場合は、テキスト付録の分布表やエクセルの関数を用います。)

関連科目

この科目を履修する前に事前に履修すべき科目はありません。

成績評価方法

科目試験による。
 当該科目試験における出題範囲は、テキスト全体から発展項目・発展問題を除いた部分とします。

参考文献

テキストの参考文献のページを参照のこと。

レポート作成上の注意

 統計学は計算結果や図表も含めてレポートを作成する科目であるため、指定箇所を除き、特に分量に制約を設けません。そして、レポート作成にあたっては、答えを求めるまでの経過もきちんと示してください。ワークシートを活用して整理して示してください。計算途中で必要となるワークシートおよび図についてはエクセルで作成したものを印刷し、それを貼りつけても構いません。ワークシートおよび図以外についてワープロを使用して作成したものを印刷し、貼り付けられた場合は、採点の対象となりません。また、答えを求めるまでの経過が示されていない場合、添削・採点の対象となりません。
 テキスト科目におけるレポートは、科目試験に向けて理解を深めるためのものです。科目試験ではエクセルを用いることはできません。エクセルの関数の使い方を学ぶことも、もちろん重要ですが、本科目のレポートの作成にあたっては、検算の手段として位置付けけて取り組んでください。レポートにエクセルのシートを示すだけでは、答えを求めるまでの経過を示したことにならないのは明らかです。計算経過を表すワークシートと数式を示し、それに説明を加えることによって、答えを求めるまでの経過が示されたことになります。エクセルの関数やデータ分析機能で答えを出すだけで統計学の考え方に関する理解が進むことはありません。エクセルの統計関数機能やデータ分析機能が検算以外の目的で用いられたレポートは自動的に再提出となります。
 また、考察や説明が求められている場合、その設問も必ず解答してください。計算が出来ただけでは統計学が理解出来たとは言えません。
 ワークシートと図以外のものについては必ず直筆でレポートを作成してください。レポート課題の最初に示しているように、この科目は「ワープロでの提出は不可」であり、また、問題の始めに「エクセルで作成して印刷し貼り付けることができるのは、エクセルで作成したワークシートと図のみ」と明記しています。統計学で扱う数式は、添え字や分数などが頻繁に登場するため、「数式エディタを使いこなさない限り」正確に表現することは不可能です。この科目では、レポート作成において数式エディタを使いこなすという学生諸君への過度の負担を無くし、統計学の考え方の習得に集中してもらうため、ワークシートと図はエクセルの利用を可とし、それ以外はワープロ不可としています。
 この科目は、全体の字数制限は設けませんので、数式をマスに割り当てて表すようなことはしないでください。数式を表す際には、見やすく改行し、レポート提出用紙のマスに従うことなく、わかりやすく表記してください。
 また、統計学のレポートではテキストで取り上げられるデータ分析の実践を通じての復習に重点が置かれるため、論述形式のレポートにあるような参考文献の使用は必要ありません。