慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
哲学
担当教員名
柏端 達也/鴻  浩介
科目設置 総合教育科目 授業形態 秋期週末スクーリング
科目種別・類 3分野科目/人文科学分野 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 -
設置年度 2022 授業コード 12254
開講期間 2022年10月15日~10月30日 曜日・時間等 第1週10/15・16、第2週10/22・23、第3週10/29・30、土曜日13:30~17:15、日曜日9:00~12:45

授業科目の内容

 哲学において「合理性」は、人間を理解するための鍵となる概念の一つとみなされてきました。哲学にかぎらず、合理的な思考能力が人間の根底的アイデンティティであるという信念は、近代文明一般に共有されてきたとさえいえます。しかしながら、とりわけ二十世紀に入ると、人が従来思われてきたよりもはるかに非合理な生き物であるという観点が明確化されるようになり、さらに現代の経験科学的研究も、そのことを様々な角度から浮き彫りにしつつあります。本講義ではそうした成果を広範に取り上げ、また、われわれ自身が直面する具体的な問題をも参照しながら、従来の合理主義的人間観の限界を描き出すことによって、合理性と非合理性のあいだに生きる存在としての人間のあり方を哲学的に考察していきたいと思います。

第1回講義内容
イントロダクション:最も広い観点から

第2回講義内容
合理性と非合理性をめぐる諸問題 (1):行為

第3回講義内容
合理性と非合理性をめぐる諸問題 (2):時間

第4回講義内容
合理的な行為者──理想と現実

第5回講義内容
人はどのように非合理な思考をするのか (1):判断

第6回講義内容
人はどのように非合理な思考をするのか (2):意思決定

第7回講義内容
人はなぜ非合理な思考をするのか (1):その原因

第8回講義内容
人はなぜ非合理な思考をするのか (2):その有用性

第9回講義内容
適応的選好という現象

第10回講義内容
道徳は合理性に支えられているのか

第11回講義内容
非合理な人間に責任は問えないか

第12回講義内容
総括

その他の学習内容
  ・小テスト
  ・理解を確認してもらうために授業時間内に「小テスト」の形式で課題を課することがある。

成績評価方法

最終日の試験による。ただし、途中で出す授業内課題(小テスト形式)も評価の対象とする。

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

プリントを適宜配布する

参考文献

非合理性/L・ボルトロッティ(鴻浩介訳) 岩波書店 2019
自己欺瞞と自己犠牲:非合理性の哲学入門/柏端達也 勁草書房 2007

受講上の要望、または受講上の前提条件

哲学の予備知識はとくに事前には必要ありません。ただし講義ではそれなりに専門的なところまで話しますので、どうしても理解できなかった部分は授業後によく考え、その後質問することをお勧めします。また、講義に関連するテーマを、自身の興味に従って自由に考えてみるのもよいでしょう。哲学の思考に制限時間はありません。10分でも10時間でも予習・復習をしてください。なお、上記の参考文献にすこしでも目を通しておくと理解が深まり、思考の助けになるでしょう。