慶應義塾大学通信教育部シラバス

科目名
社会心理学
担当教員名
李 光鎬
科目設置 総合教育科目 授業形態 夏期スクーリング
科目種別・類 3分野科目/社会科学分野 単位 2
キャンパス 三田 共通開講学部 -
設置年度 2022 授業コード 12228
開講期間 III期 8/22~8/27 曜日・時間等 1~2限 9:00~12:45

授業科目の内容

この講義では、社会心理学の基礎的な概念や理論について、実証的な研究例を紹介しながら解説する。さらに、様々な社会的場面や事象における人間の行動を社会心理学の概念や理論によってどのように説明することができるのかについて、先行研究の知見を踏まえながら学習していく。

第1回講義内容
第1回 イントロダクション 第1回の授業では、イントロダクションとして、社会心理学とはどのような学問なのか、これまでどのような研究対象について、どのような方法論に基づき、研究が行われてきたかについて概説的に講義を行う。

第2回講義内容
第2回 進化心理学からみた社会の形成 第2回の授業からは、テキストに基づいて、各章の内容を順に説明していく。まず、第2回では、配偶と家族(第1章)、利他と協力(第3章)について、主に進化心理学の観点から、最も基礎的な単位の社会の形成や社会形成に基本になる人間行動が、どのように説明され、考えられているかを学習する。

第3回講義内容
第3回 対人的影響 第3回の授業では、対人的影響に関する社会心理学の研究成果をみていく。「他者の存在」を重要な要因とする社会心理学において、各個人が望むことを他者に働きかけるという行為は対人的影響と呼ばれる。対人的影響にはどのような現象が含まれるのか、その主たる影響パターンに関係する要因に目を向け、受け手の考えや行動を変容させる説得のプロセスについて学習する。

第4回講義内容
第4回 リスク 私たちは生きていく上でなるべくよい結果を得たいと考えている。しかし、それとは裏腹に、望ましくない結果につながってしまうこともある。食品の選択、治療や服薬、消費や金融など、様々な意思決定にリスクがつきまとう。第4回の授業では、このような様々なリスクを私たちはどう捉え、どう対処していくのかを、社会心理学から説明していく。

第5回講義内容
第5回 キャリア形成・健康 第5回の授業では、キャリア発達に関する様々なモデルを検討し、キャリアプランニングにおける偶然性の役割、周囲の人からの影響などについて考えていく。また、生活習慣やストレスとの関連から健康の問題を取り上げ、社会心理学が健康についてどのような説明をしているのか学習する。医療と情報の問題についても検討する。

第6回講義内容
第6回 社会的影響力 第6回では、社会的影響力をキー概念として、対人的影響、リーダーシップ、影響力保持者の認知などについて学習する。社会的影響力の基盤はどこにあるのか、私たちのふだんの対人関係は、社会的影響力という観点からはどのように捉えられるのか。また、リーダーシップは社会的影響力とどのような関係にあるのかについてみていく。

第7回講義内容
第7回 メディア 私たちの社会的生活を支える一つのインフラともいえるメディアに対しては、社会心理学の視点から非常に多くの研究が行われてきた。社会心理学の視点からメディアを研究するとは、メディア利用の背後にある人間の心理に目を向けること、そして、メディア利用から受ける心理的な影響に注目することである。第7回では、このような「メディアの社会心理学」を、ソーシャルメディアとマスメディアに分け、学んでいく。

第8回講義内容
第8回 世論調査とランキング 第8回では、社会調査の現況や基本的な考え方を簡単に説明した上で、信頼できる調査の実施が難しい理由を様々な誤差の観点から考える。また、調査結果を元に作られるランキング情報の問題点や、なぜ人々がランキング情報に惹かれるのかについて検討する。

第9回講義内容
第9回 普及と流行 第9回では、まずイノベーションの普及過程とニュースの普及過程に関する基本的な知見を紹介し、相対的に短い期間に急速に普及する現象として「流行」を取り上げ、社会心理学がその現象をどのように捉えてきたのかを検討する。

第10回講義内容
第10回 環境配慮 環境問題は、健康の維持や生活の質の維持・向上といった問題が相互に絡み合うことから、個人と社会の関係を扱う社会心理学において重要な課題である。この授業では、環境配慮の態度と行動の不一致という課題と、環境配慮の社会的利益と個人の利益が衝突する社会的ジレンマの課題について考えていく。

第11回講義内容
第11回 防災 第11回では、防災の分野で社会心理学の研究成果がどのように使われているのかをみていく。自然災害や事件・事故を防ぐために、被害を少なくするために、多くの社会心理学の研究が行われてきた。授業では、今後起こりうる災害に備えるために重要だと考えられる点を中心に学習していく。

第12回講義内容
第12回 まとめと試験 ここまでの講義内容を総括し、試験を行う。

その他の学習内容
  ・課題・レポート

成績評価方法

授業内に実施する小レポート課題や出席状況等の平常点(60%)と最終日に実施する試験(40%)によって総合的に評価します.

テキスト(教科書)※教科書は変更となる可能性がございます。

社会心理学/李光鎬・杉浦淳吉 通信テキスト 2019

プリントを適宜配布する
毎回の授業で使用するスライドのプリントを配布します。

受講上の要望、または受講上の前提条件

テキストの内容を基本にしますが、テーマによって授業時間の配分や順序が変更になったり、省略する場合があります。